2020 Fiscal Year Research-status Report
Basic Study on the Buddhist Sculptor Kaikei's Production Methods and Division of Labor at His Workshop, Focusing Chiefly on Sanjaku Amida
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18K12254
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Research Institution | Nara National Museum |
Principal Investigator |
山口 隆介 独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館, 学芸部, 主任研究員 (10623556)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 快慶 / 三尺阿弥陀 / 工房制作 / 分業体制 / X線CTスキャン調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、快慶銘を有する「三尺阿弥陀」の調査を進めることはできなかったが、関連作品として建保4年(1216)銘を有し、着衣形式や作風が快慶作品に近い石川・尾添区阿弥陀如来像の実査及びX線CTスキャン調査を行った。これまで実施したCT調査で、快慶の三尺以下の立像作品は無位時代には両肩別材矧ぎが多く、法橋・法眼時代には左肩割矧ぎ・右肩別材矧ぎ、ないしは両肩割矧ぎが多いことを把握していたが、本年度行った関連作品の調査でもそうした傾向に沿う結果が得られた。 昨年度及び本年度の調査作品のうち兵庫・浄土寺裸形阿弥陀如来像については、研究討論会「日本の仏教彫刻 作品生成の場」(京都大学人文科学研究所「東アジアにおける阿弥陀如来の表象」班主催)において「快慶と阿弥陀仏造像」と題して報告を行い、その内容を奈良国立博物館の研究紀要に「兵庫・浄土寺裸形阿弥陀如来立像」として発表した。また、東京・出光美術館地蔵菩薩像については、同館研究紀要に「出光美術館所蔵(興福寺旧蔵)の地蔵菩薩立像について」と題する論文を寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の基礎資料となる、快慶銘を有する「三尺阿弥陀」の実査及びX線CTスキャン調査のデータは昨年度までにおおむね整った。全体としては順調に進展しているが、本年度予定していたアメリカでの調査は実施することができなかった。その代替として国内で快慶周辺作品の実査及びフルカラー画像の撮影を進め、資料の蓄積に努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していたアメリカ所在の快慶作品(ボストン美術館、メトロポリタン美術館、キンベル美術館、フリーア美術館)の調査については、感染症禍で実施の見通しが立たないため無期限延期とした。国内の関連作品の調査に切り替え、ひきつづき基礎データの収集に努める。調査により得られた知見や各種データは、奈良国立博物館が刊行を予定し現在編集を進めている学術書に反映させる。
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Causes of Carryover |
当初予定していたアメリカでの調査が感染症拡大のため順延となり、実施の見通しが立たないため、今年度は国内調査に切り替え、当該助成金はその旅費等にあてる。
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