2018 Fiscal Year Research-status Report
危機的状況の小型映画フィルムから情報資源を発掘する新開発連続式スキャナの提案
Project/Area Number |
18K12255
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
馬場 一幸 目白大学, メディア学部, 専任講師 (20621791)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | フィルムスキャナ / デジタルアーカイブ / 小型映画 / 4K / 映像資料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は技術・装置のアップデートに注力した。まず、ソフトウェアから着手しはじめ、アルゴリズム、フローを見直し、全面的な改修を施した。フィルムの走行が非常に不安定であっても対応できるようにした。これにより、手動リワインダーを用いてでも画像の取得が可能になった。続いて、ハードウェア面ともあわせて、コンピュータの画像処理の速度に連動してフィルム巻き上げモーターの回転速度を自動制御すること、4K解像度の入出力に対応すること等を実現した。 4K対応は本研究の取り組みについて改めて考え直す契機となった。装置の最も重要なコンセプトとして、状態の悪いフィルムでも安全に走行させることがあるため、いわゆるゲート部にあたる箇所にプレッシャープレート等はなく、単にローラー間の空中となっている。このため撮像レンズから見て奥行き方向のゆらぎがあり、被写界深度内であれば大きな問題にはならないものの、この場合の被写界深度は解像度が高いほど浅くなる。また、これもフィルムへのストレス軽減のため、フィルムを完結運動ではなく、連続走行させて撮影時の高速シャッターで対応する方式を採っているが、こちらについても解像度が高いほどモーションブラーに対してシビアになる。つまり、高解像度化は、それ以外のあらゆる面において不利にはたらくもので、低コストかつ安全なデジタル化技術の必要性という、本研究での取り組みの根本への問いにも繋がるものであった。装置の開発と並行して、映画用フィルムに関係のある法人・個人に技術を紹介しつつ、意見聴取をしたところ、高解像度の要不要については意見が別れ、論拠も一様ではなかった。 なお同時に関係者には、技術的に安定した後に、テストケースとしてフィルムの提供を打診するなどし、複数から前向きな返答を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初2台購入予定だった装置が価格変動により1台のみとなったものの、別途部品調達により強化改良し、単体性能を上げて対応した。結果的には映画フィルムのデジタル化作業にあたっての技術的に対応可能な範囲が広がった。
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Strategy for Future Research Activity |
映画フィルムに関係のある複数の法人・個人に対して技術を紹介し、試作装置の感想を求めたところ、低コストかつ安全である事が評価された一方、処理速度向上の必要性を強く感じたため、それに注力したい。また、この技術の存在がより広く知られるよう努めたい。
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Causes of Carryover |
当初2台購入を予定していた装置の価格が上がり、購入数を1台とし、別途部品を調達し改造する方針に切り替えたため。装置処理速度の向上と、本研究の認知度を上げる目的に使用したい。
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