2020 Fiscal Year Research-status Report
自治体文化芸術政策の地方創生総合戦略への位置付けをめぐる政策形成過程に関する研究
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18K12264
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
竹内 潔 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (10805534)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 文化政策 / 地方創生 / 総合戦略 / 自治体 / 鳥取市 / 豊岡市 / テキスト分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに収集したデータおよび実地調査等によって得られた知見を踏まえ、テキスト分析等によって2つの自治体の地方創生総合戦略の記述の特徴の比較を行った。 具体的には、鳥取市の『~郷土愛を育み 人がつながる まちむら創生~鳥取市創生総合戦略 平成27年9月【令和3年1月改訂】』と兵庫県豊岡市の『豊岡市地方創生総合戦略 第5版 2015年度~2019年度(平成27年度~令和元年度)2019年6月28日』を対象とした分析を行い、年度末の学会において口頭発表を行った。 豊岡市は、2014年に劇作家・演出家の平田オリザ氏を芸術監督に据えたKIACの開館をはじめ、豊岡演劇祭の開催、江原河畔劇場の整備、県立芸術文化観光専門職大学の誘致など、文化政策が市の政策の重要な柱となっていることが、テキスト分析の結果としても表れた。鳥取市も、同じく演劇人である中島諒人氏の鳥の劇場が拠点を持って活動しており、市も支援はしているものの、市の施策としては豊岡市ほどに注力されていないということが浮き彫りとなった。 自治体が文化政策をどのように扱っているかを定量的・客観的に示す手法として、行政計画(ここでは総合戦略)のテキスト分析に一定の有効性が確認できたものと考える。今後は、より多くの自治体の分析を精緻に行い、定性的な調査分析と併せて、自治体ごとの差とその要因に迫り、より望ましい文化政策の企画・実施に資する知見を得たい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の蔓延による移動の制限がかかるなか、データ分析についてはある程度進めることができたが、自治体に対する聞き取りを含む実地調査が思うように進められなかった。また、学会の大会が延期となったりオンライン開催となったため、発表を行って研究にフィードバックする機会が例年のようには十分に得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
学会発表において指摘された点を踏まえ、対象とする自治体の実態を踏まえたより丁寧な分析を行うとともに、全国的な傾向についても定量的に示すことを目指す。 また、前年度までで十分に検討できていない政策過程(特に政策の評価と、当該評価の意思形成過程への反映の程度やプロセス)について、新型コロナウィルス感染症の蔓延状況に注意しながら、関係者への詳しい聞き取りを進め、分析や考察に活かす。 以上の作業を踏まえ、成果の公表に向けた論文執筆や学会発表を積極的に進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の蔓延により、自治体への聞き取り等を含む実地調査を行えなかったことや、学会等が延期やオンライン開催となり旅費が不使用となったことが主な理由である。 次年度は、感染症の蔓延状況をみながら実地調査や学会発表を積極的に行い、研究補助者を雇用するなどして研究を加速させる。
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Research Products
(1 results)