2021 Fiscal Year Research-status Report
自治体文化芸術政策の地方創生総合戦略への位置付けをめぐる政策形成過程に関する研究
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18K12264
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
竹内 潔 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (10805534)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 文化政策 / 地方創生 / 総合戦略 / 自治体 / 鳥取市 / 豊岡市 / テキスト分析 / 地域劇場 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究成果を踏まえ、今年度は個別の自治体における地方創生総合戦略と文化政策の関係の詳細な調査を進めた。具体的には、コロナ禍による移動の制約がある中、鳥取市及び鳥取県のケースを重点的に調査した。鳥取市では総合戦略の中で「文化芸術を生かした個性あるまちづくりの推進」の項目で具体的な対象を挙げて支援を表明している。具体的には「ことるり舎」(気高町)、「鳥の劇場」(鹿野町)、「西郷工芸村」(用瀬町)など合併で市に編入された地域における芸術文化活動が列挙されている。これらは鳥取県が「アートピアとっとり」を掲げて支援している対象とも重なっており、県の施策の変遷についても、関係者への聞き取りを行うとともに政策資料を収集して分析を進めた。 上述の鳥取市・鳥取県の政策過程の調査から、地域劇場である「鳥の劇場」が政策立案に大きな影響を与えてきたことも見えてきた。その観点からの考察を深めるため、先進事例である富山県立利賀芸術公園(富山県南砺市)におけるSCOT(Suzuki Company of Toga)と富山県の関係を改めて調査したほか、あきた芸術村(秋田県仙北市)で開催されたフォーラム「地域芸術拠点のこれから」に参加して、全国各地の事例についての知見を深めた。フォーラムでは、前年度に総合戦略のテキスト分析の対象とした豊岡市の事例も紹介されており、城崎国際アートセンター(KIAC)のほか、2021年春に開学した兵庫県立芸術文化観光専門職大学が芸術文化の視点から地方創生においても重要な役割を果たそうとしていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
引き続き新型コロナウィルス感染症の蔓延による移動の制限があり、現任地である鳥取市及び鳥取県の調査は進めることはできたものの、他地域の事例を詳細に調査することができていない。また、コロナ対応を含めた他業務多忙などの影響もあり、今年度は研究成果をまとめる作業が進まず、学会での発表や学術論文の投稿に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を1年延長し、コロナ禍の影響で滞っている事例調査を可能な限り進める。特に、今年度ある程度調査を進めることができた鳥取市・鳥取県と、近隣で比較的移動の障壁が小さく、好対照でもあると考えられる豊岡市・兵庫県との比較を軸として分析・考察を進めることとする。また、データ分析とその成果など、コロナ禍の影響下でも得られた知見を再度吟味してまとめ、積極的に学会発表や学術論文への投稿を行う。
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Causes of Carryover |
昨年度に引き続き、新型コロナウィルス感染症の蔓延により、自治体への聞き取り等を含む実地調査を行えなかったことや、学会等が延期やオンライン開催となり旅費が不使用となったことが主な理由である。また、実地調査に伴う資料整理などの用務がほとんど発生しなかったことから、研究補助者の雇用も行わなかった。 次年度は、感染症の蔓延状況をみながら実地調査や学会発表を積極的に行い、研究補助者を雇用するなどして研究を加速させる。
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