2020 Fiscal Year Annual Research Report
History of Traditional Japanese Pediatrics and Their Applications to Modern Pediatrics
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18K12273
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川島 希 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (30772264)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 伝統小児科学 / 漢方医学 / 小児科学 / 医史学 / 構造化データベース / 古典籍 / 光学文字認識 / 電子テキスト翻刻 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児漢方医学は西洋の小児科学が主体の今日でも小児医療を支える柱の一つであるがここに至る歴史的経緯は明らかではない。そこで小児医学文献の電子データベースを構築し小児漢方の変遷を研究することで現代小児科学への臨床応用可能性をも検討することが本研究の目的である。 最終年度では日本小児漢方に関連する医学文献リストを再検討した。日本の医史学を確立した富士川游『日本医学史』を全文電子テキスト翻刻することで、昨年度までに作成した文献リストに遺漏がないか検討したところ村上良元『慈幼密旨』が重要であることが判明したため、光学認識による電子テキスト化と目視による校正を行い、テキストを確定した。 また電子テキスト化した文献の疾患・治療法データベースを構築した。ところが多くの文献で生薬が「一字銘」と称される漢字の合字あるいは略字様の記号で暗号化されており、治療法を正確に理解することができないことが判明した。この理解には小児科文献を含む多くの伝統医書を対象としたさらなる研究が必要である。このように小児漢方医学の変遷について治療法に着目した定量的検討には追加研究を要するが、江戸時代までの小児漢方の変遷を踏まえて記述されたと思われる明治時代の代表的な伝統小児書『幼幼家則』の治療内容を検討することで現代小児漢方との比較をすることは可能であった。近著の小児漢方医学書の治療法を検討したところ、『幼幼家則』では時方(漢代以降に開発された方剤)が過半数を占めたのに対して、現代小児漢方医学書では経方(傷寒論・金匱要略に由来)が過半数であった(P<0.001)というように両者では有意に治療法が異なっていた。 古文献に見られる治療シーズの現代小児科学への応用について、病態・治療法が確立していない小児長期入院患者の夜啼き・睡眠時随伴症に対して臨床研究を行い、甘麦大棗湯は即効性がありかつ有害事象が見られなかったことを報告した。
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Research Products
(10 results)