2023 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the history of interpretation of Hang Shangu's poems in medieval Zen forests:By comparing on interliner glosses in Gozan Editions with Cinitic Commentaries
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18K12284
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
大島 絵莉香 中京大学, グローバル教育センター, 外国語嘱託講師 (30761746)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 五山文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
【最終年度の研究成果について】 本研究課題に関連するものとして、黄山谷詩抄物『山谷幻雲抄』が引用する、中国北宋の詩人・高荷の逸詩をとりあげ、論文「建仁寺両足院蔵 月舟寿桂『山谷幻雲抄』所引高荷逸詩について」(『日本宋代文学学会報』第10号、2023年12月掲載、査読有)において発表した。『山谷幻雲抄』が引用する高荷の詩集『還々先生詩集』10巻本は現存していないが、同書の詩の配列が詩型別であった蓋然性が高いことを指摘した。 【研究期間全体を通じて実施した研究の成果について】 黄山谷の詩は、日本の中世禅林でよく読まれており、その詩の解説書である抄物が複数作られた。本研究は、日本の中世禅林における黄山谷詩研究の対象を抄物のみならず、黄庭堅詩集『山谷詩集注』の五山版の書入れにみえる禅僧の説も研究対象に加えることで、日本中世禅林における黄山谷研究史の展開をより長期で解明する試みであった。各地に残る黄庭堅詩の五山版のうち書入れの多いものを調査する中で、西尾市岩瀬文庫蔵五山版『山谷詩集注』の書入れにみえる禅僧らの説が現存する黄庭堅詩抄物の編者よりも前の世代の禅僧ものに限られることに着目し、現存する黄山谷詩の抄物と照合した結果、現存する黄庭堅詩抄物の特徴を導き出すことに成功した。 また、本研究課題に関する研究として、(1)黄山谷詩抄物における黄山谷「演雅」詩の訓読・解釈の独自性を明らかにしたほか、(2)黄山谷詩抄物にみえる、高荷の逸詩を発見・発表した。
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