2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18K12290
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松田 聡 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (60806412)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大伴家持 / 歌日記 / 万葉集 / 巻二十 / 更級日記 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は万葉集末四巻(巻17~20)の日記文学的側面を考究しようとするものであるが、その解明の糸口として歌の内容だけでなく、「散文」的な性格を持つ題詞・左注や歌の配列に着目するものである。令和2年度は本研究の一部として以下の①②の論文を発表した。①「『万葉集』と東国―『更級日記』を視野に―」(『更級日記 上洛の記千年 ―東国からの視座―』武蔵野書院2020年7月)、②「防人歌蒐集時の家持独詠歌再考―万葉集巻二十における散文的表現―」『国文学研究』第192集、2020年11月、早稲田大学国文学会)。①は、万葉集末四巻の日記文学的な性格を考察する一環として、更級日記との比較を行った。これら2作品に直接の影響関係は認められないが、「地名」に対する関心のありようやその表現方法に共通性を見出すことによって、末四巻の日記的性格を明らかにする一助とした。②は、当初から予定していた研究であるが、巻二十において防人歌と併載される家持独詠歌を再検討することを通じて、その配列や表現に日記文学と通底するような散文的な性格があることを論じた。 なお、2020年11月に美夫君志会例会での発表を予定していたが、コロナ禍の影響で学会が中止になったために年度内での発表を果たせなかった。
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Research Products
(2 results)