2022 Fiscal Year Annual Research Report
Basic study on the literary matters of Kimura Mokurou
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18K12292
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
三宅 宏幸 愛知県立大学, 日本文化学部, 准教授 (90636086)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 黙老 / 高松家老臣木村亘所蔵書籍目録 / 華陽皮相 / 甲斐國山梨八代巨摩三郡村高帳 / 古今説海 / 思出草紙 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は讃岐高松藩の家老、木村黙老の文事について研究するものである。今年度は新型コロナウイルスの感染状況が少し落ち着いたこともあり、各地に所蔵されている資料の調査を行った。特に、新型コロナウイルス感染拡大防止の基準が高かった関東地方の諸機関に赴き、黙老の旧蔵書の探索などを行った。 黙老の旧蔵書に関してはこれまで香川県の多和文庫、鎌田共済会郷土博物館などに所蔵されることを指摘してきたが、今年度は東京大学附属図書館や筑波大学附属図書館にも黙老の旧蔵書が所蔵されていることが判明した。東京大学府蔵図書館所蔵『華陽皮相』および『華陽皮相原稿』は、ともに「木村蔵書」の蔵書印がある。また『華陽皮相』の表紙右肩には「八十七」と書かれた貼紙があり、この数字が黙老の蔵書目録『高松家老臣木村亘所蔵書籍目録残欠』に記載される番号と一致する。さらに東京大学附属図書館所蔵『甲斐國山梨八代巨摩三郡村高帳』は黙老の蔵書印こそないものの、多和文庫の蔵書印があり、何らかの事情で東大図書館に収まったものと思われる。そして表紙右肩には図書館の所蔵シールが貼られているが、その下に紙が貼られており、紙の上部の一部だけ「十」か「七」かと思しき字が見られる。黙老の蔵書目録『高松家老臣木村亘所蔵書籍目録残欠』では『甲斐國山梨八代巨摩三郡村高帳』は七十五番に立項されており、このことから本書が黙老の旧蔵書である可能性が高い。また筑波大学附属図書館所蔵『古今説海』には「木村家蔵」の蔵書印が押されており、これも黙老の旧蔵書と判明した。 また別研究で『思出草紙』の諸本整理や異本の調査を行ったが、『思出草紙』は黙老が『聞ままの記』に引用しており、受容に関する課題も見えた。 以上のように黙老旧蔵書の発見があり、黙老の知識源を調査することで随筆研究の参考となる発見もあった。さらに今年度は黙老の肉筆絵を入手した。黙老の画業に関する資料となりうる。
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Research Products
(5 results)