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2018 Fiscal Year Research-status Report

鵜鷺系歌学書の検討を軸とした秘伝的歌学書・歌学知の生成と展開に関する研究

Research Project

Project/Area Number 18K12305
Research InstitutionNational Institute of Japanese Literature

Principal Investigator

舘野 文昭  国文学研究資料館, 情報事業センター学術資料事業部, 機関研究員 (50815339)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords歌学 / 秘伝 / 諸本 / 和歌 / 中世
Outline of Annual Research Achievements

本研究は「鵜鷺系歌学書」と呼ばれる一群の定家仮託の書(『愚見抄』『愚秘抄』『三五記』『桐火桶』)を中心に、歌学秘伝書類の諸本調査及び整理、各書の影響関係の調査を行い、秘伝的な歌学知の生成と展開に関する諸問題を検討することで、中世歌学の一端の解明を目指すのが主たる目的である。また、副次的にその他の歌学書や和歌注釈書についても適宜検討を行い、中世「歌学知」の展開について考察することも目的とするものである。
初年度となる2018年度は主に『愚秘抄』に焦点を当て、各地の伝本の書誌・本文の調査、国文学研究資料館蔵マイクロフィルムを利用した本文の調査、紙焼写真・デジタル画像の収集及びその本文の調査を行い、諸本の内容・構成・奥書について整理を行った。この整理を基に、諸本の生成と展開について考察したいと考えているが、まだ調査量が不十分であるため明快な見取り図を描くに至っておらず、研究報告するだけの成果は挙げられていない。次年度も引き続き『愚秘抄』の調査・整理を行ってゆく必要があるという状況である。
副次的なテーマに関する成果としては、『古今持為注』『古今和歌集聞書〔冷泉流〕』といった中世冷泉流の『古今集』注釈書に関する論考を発表することが出来た。特に前者について、持為の真説を伝える注であると見做すのが通説化していた中で、具体的な検討から持為仮託説の可能性が高いと結論づけることが出来たのが、本年度の大きな研究成果である。後者については、これまで翻刻・影印が備わっておらず、研究資料として利用がしづらい状況にあったものを翻刻紹介を行った。
また、その他中世歌学の一問題として、作者の身分と和歌表現の連関の問題について考察を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本格的に研究を開始したのが9月以降となってしまったことと、副次的な研究テーマに関わる研究に時間を取られたことにより、課題のメインテーマである鵜鷺系歌学書の研究に当初の想定よりも時間を割くことが出来ず、諸本調査に関しても本来2018年度に行う予定であった分量の半分程度に留まってしまった。副次的テーマに関しては一定の成果があったものの、全体としては「やや遅れている」という状況である。

Strategy for Future Research Activity

当初の想定よりも遅れは生じてしまっているが、全体の研究計画には変更は無い。
引き続き『愚秘抄』を軸に鵜鷺系歌学書の諸本について調査し、内容・構成・奥書について整理した上で、その諸本生成と展開の様相を明らかにしたい。『愚秘抄』については夏期を中心に集中的に原本調査と紙焼写真・画像データの収集・整理を行い、2019年度中に何らかの成果を公表し得る状況にまで進める予定である。また『三五記』についても諸本の原本調査・紙焼写真・画像データの収集・整理を行い、その諸本生成及び『愚秘抄』との関連について考察してゆきたい。
またこれまで同様、副次的研究として、鵜鷺系歌学書に限らず、中世歌学に関する研究成果も随時公表してゆきたい。

Causes of Carryover

周辺課題に時間を取られたことにより、当該研究のメインテーマについて本格的に取り組み始めるのが9月以降になってしまった。そのため、当初夏期に行うことを想定していた資料調査出張を実施することが出来なかった。その分の資料調査出張の実施を次年度に回すことになったため、次年度使用額に変更が生じた。
当該助成金は主に旅費と閲覧した資料の複写費として使用する。
次年度分として請求した助成金は当初の予定通り旅費・書籍購入費・資料複写費・文房具購入費として使用する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2019 2018

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 2 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 「わがひのもと」という詞 ―金源三和歌説話を起点として室町期の歌学知を探る―2019

    • Author(s)
      舘野文昭
    • Journal Title

      国語国文

      Volume: 88巻4号 Pages: pp-21-54

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 『古今持為注』の真偽をめぐって2019

    • Author(s)
      舘野文昭
    • Journal Title

      国文学研究資料館紀要 文学研究篇

      Volume: 45号 Pages: pp.123-pp.157

    • Open Access
  • [Journal Article] (翻刻)『古今和歌集聞書〔冷泉流〕』2019

    • Author(s)
      舘野文昭
    • Journal Title

      調査研究報告

      Volume: 39号 Pages: pp.107-pp.140

    • Open Access
  • [Presentation] 室町期制詞の新展開―身分と表現の問題をめぐって―2018

    • Author(s)
      舘野文昭
    • Organizer
      和歌文学会6月例会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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