2018 Fiscal Year Research-status Report
Aldous Huxleyのフィクションおよび思索的随筆に見られる語りの手法
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18K12317
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
猪熊 恵子 東京医科歯科大学, 教養部, 准教授 (00508369)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 語り / 小説 / 映画 / 叙事詩 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究計画においては、オルダス・ハクスリーの著作に焦点を絞り、『すばらしい新世界』と『島』との比較検討を「語り」の側面から行う予定であった。しかし、資料の読み込みを開始した結果、より広く「語り」の問題を検討したうえで改めてハクスリーの精読に入る必要性を感じたため、まずはハクスリーという枠組みをいったん外してみることとし、以下のような研究課題を中心に据えて初年度の研究を行った。 より広い角度から「語り」の問題を検討するために、「小説」と「映画」という多ジャンルの混交について考察を行った。これはハクスリー作品の多くが映画化されること、またハクスリー自身の中期の作品『猿とエッセンス』(_Ape and Essence_ 1948)の第二部がレーゼ・シナリオの形態をとっていること、また何よりもハクスリーの作品が「視覚」による認識の困難/可能性について思索をめぐらすものである点を考慮したためである。この点の検討の初段階として、「映画」と「小説」というジャンル混交についての論文を執筆し、2019年度中に出版予定である。 合わせて、「小説」というジャンル、またはその語りのもつ特異性を考察するため、通常は「小説」とは対照的ジャンルと考えられることの多い「叙事詩」に関しても考察し、この点についての論文を執筆中であり、こちらも2019年度中に出版の運びである。 2018年度はこの二つの論文を柱と据えたため、当初の研究計画の内容からずれることとなったが、上記を踏まえたうえで、2019年度以降、改めてハクスリー作品の考察を再開する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上の「研究実績の概要」に述べた通り、今年度はハクスリー作品に関して踏み込んだ精読と論文執筆を行うまえの準備段階として「小説」や「語り」というテーマをもう一度検討し直す必要性を感じ、そのテーマに沿った論文執筆を行ったためである。 そのため、研究計画の初期段階に予定していたハクスリー作品に関する具体的検討は、2019年度から開始する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」に述べた論文を完成させたうえで、あらためてハクスリー作品の読み込みと資料の収集、論文作成に取り掛かる予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画の初年度のフォーカスを変更したため、当初予定していた資料の購入を2019年度に後ろずらしすることとなったため。
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