2022 Fiscal Year Annual Research Report
Crisis, Affect and Body in Contemporary American Literature and Culture
Project/Area Number |
18K12319
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
ハーン小路 恭子 専修大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (30733563)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / アメリカ文化 / 危機 / 情動 / 南部文学 / ポップカルチャー / アメリカ映画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は文学作品や映画、TVドラマ、ミュージックビデオといった現代アメリカの文化的所産における新たなジャンルや形式、主題の創出が、アメリカが経験してきた政治的、社会的、経済的、文化的、そして日常的な危機の感覚とどのように関わり、応答しているかを分析してきた。これまでの年度では、ビヨンセのミュージック・ビデオやアメリカ南部女性作家の小説、アニメーション『ヒックとドラゴン』やホラー映画『キャンディマン』、ベストセラーとなったミステリー小説『ザリガニの鳴くところ』などを主題として、研究発表や論文執筆を行ってきた。その結果として、アメリカの文化的創作物の形式的側面とは、作り手が大衆の情動をいわば掬い取るようにして生み出す、文化のレベルでの危機に対する応答を、個々の危機に応じた特定のジャンルや形式、主題のもとに「かたち」として表現したものであることが検証された。最終年度においては、これまでの研究発表の成果や出版した論文をもとに、研究全体を単著にまとめる作業に精力的に取り組んだ。10月にはアメリカ、ミズーリ州でのFaulkner and Ward Conferenceにパネルを組んで参加し、有益なフィードバックを得た。その成果を単著の一章分の執筆に反映させた。単著は2023年3月に『アメリカン・クライシス 危機の時代の物語のかたち』として松柏社より出版され、同月にその内容をテーマとした研究発表「危機の時代の物語のかたち」をアメリカ文学会東京支部3月例会で行った。
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