2021 Fiscal Year Annual Research Report
Beyond the Dialectics of Transcendence and Experience: (Re)constructing the 'Physical' Shelley
Project/Area Number |
18K12325
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Research Institution | Shirayuri University |
Principal Investigator |
米田 ローレンス正和 白百合女子大学, 文学部, 講師 (40748266)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | パーシー・シェリー Percy Shelley / 経験 experience / 超越 transcendence / 旅行 travel / イタリア Italy / 自然 nature |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度末までに、シェリーの超越的自然観におけるイタリア経験の形成的影響を明らかにしたことで、当該研究の目標である「超越的シェリー像と経験的シェリー像との有機的統合」において一定の成果を得た。研究期間最終年度に当たる本年度においては、当該研究の全体を通じて重要なテーマであり続けたシェリーのイタリア経験について、更に広範な研究を行った。第一に、シェリーのイタリア経験に関する先行研究においては同詩人の主要な作品に焦点が当てられる傾向があったが、当該研究では近年の欧米の研究者達の編纂・出版によって初めて広くアクセス可能となったシェリーのイタリア期における未完成・未発表の作品群を分析対象に追加することで、シェリーのイタリア経験が彼の自然観の変容に与えた影響の大きさをより実証的に論証した。第二に、シェリーのイタリア旅行に関する著述と、スタール(Madame de Stael)を含む同時代のヨーロッパの作家達によるイタリア関連の著述との類似点を明らかにすることで、シェリーのイタリア旅行に関する言説の歴史性を回復するのみならず、それによってイタリア期のシェリーにおける経験的傾向の優位を証明した。本年度の研究により、「経験的シェリー」の源泉としての「イタリア経験」について、十分な学術的根拠を得たと考えている。また、当該研究全体の成果に基づく単著論文「"The newly unfrozen senses": Restoring Physical Dimensions to the Italianate Shelley」が世界的知名度のある学術誌『European Romantic Review』に掲載される予定であるため、当該研究の知見が国内外の学術的コミュニティに広く共有されることを期待している。
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