2018 Fiscal Year Research-status Report
シェイクスピア後期作品群における女性表象の政治性について
Project/Area Number |
18K12331
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
塚田 雄一 同志社大学, 文学部, 准教授 (60780294)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イギリス / 演劇 / ロマンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、17世紀初頭に流通していたロマンス、詩、パンフレット、バラード、歴史書、説教などの言説に繰り返し登場する特有の政治的・宗教的な女性表象が、シェイクスピアの後期作品群において効果的に用いられていることをテクスト分析により論証することで、シェイクスピア劇と当時の女性をめぐる言説の複雑な関係を明らかにする。本研究は四部構成である。第一部「1610年代の政治的・宗教的な女性表象」、第二部「後期劇と宗教的女性表象」、第三部「後期劇と政治的女性表象」、第四部「総論: シェイクスピア後期作品群における女性表象の政治性・宗教性」である。本年度は、第一部として、Conal Condren, Argument and Authority in Early Modern England (2006) 、David Norbrook, Poetry and Politics in the English Renaissance. Rev. ed. (2002)、Michelle O’Callaghan, The‘Shepheard’s Nation’(2000) 、W. B. Patterson, King James VI and I and the Reunion of Christendom (1997) をはじめとした政治的・宗教的な言説をめぐる先行研究をふまえた上で、17世紀初頭の言説に登場する女性表象を自ら収集・分析した。そして、第二部として、第一部の研究成果をふまえてシェイクスピアの『ペリクリーズ』、『冬物語』、『テンペスト』のテクスト分析を行うことで、これらのシェイクスピアのロマンス劇が初演時にもちえた政治性と宗教性を考察することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本課題は四部構成だが、そのうち第一部と第二部の調査・分析を終え、シェイクスピアの『ペリクリーズ』、『冬物語』、『テンペスト』のテクスト分析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
第三部、第四部に取り組む。本研究で展開する議論の精度を高めるため、適宜研究成果を国内外の諸学会で発表してフィードバックを受ける。
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Causes of Carryover |
海外での調査を次年度に行うことになったため、そのための費用を次年度に請求する予定である。
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