2019 Fiscal Year Research-status Report
シェイクスピア後期作品群における女性表象の政治性について
Project/Area Number |
18K12331
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
塚田 雄一 同志社大学, 文学部, 准教授 (60780294)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イギリス / 演劇 / ロマンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、17世紀初頭に流通していたロマンス、詩、パンフレット、バラード、歴史書、説教などの言説に繰り返し登場する特有の政治的・宗教的な女性表象 が、シェイクスピアの後期作品群において効果的に用いられていることをテクスト分析により論証することで、シェイクスピア劇と当時の女性をめぐる言説の複 雑な関係を明らかにする。本研究は四部構成である。第一部「1610年代の政治的・宗教的な女性表象」、第二部「後期劇と宗教的女性表象」、第三部「後期劇と 政治的女性表象」、第四部「総論: シェイクスピア後期作品群における女性表象の政治性・宗教性」である。本年度は、本研究の第三部として、シェイクスピアとジョン・フレッチャーの共作『ヘンリー八世』(Henry VIII)と『二人の貴公子』(The Two Noble Kinsmen)の研究を行った。ヘンリー王子が急死するなどした1612年以降、イングランドの政治情勢は大きく揺れ動いたが、それと連動するかのように、特定の政治性を帯びた女性表象がさまざまな言説に登場した。当時、劇作家たちもそれらの言説とは無縁ではなく、むしろ積極的に政治的な女性表象をその作品に登場させていた。第三部では、『ヘンリー八世』と『二人の貴公子』における女性表象を、当時流通していたこれらの劇場内外の政治的な女性表象をふまえて再考し、その政治性を分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は四部構成だが、予定通り、本年度中に第三部の調査・分析を終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の第四部「総論: シェイクスピア後期作品群における女性表象の政治性・宗教性」に取り組む。本研究で展開する議論の精度を高めるため、研究成果を国内外の諸学会で発表してフィードバックを受けたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な感染拡大により、予定していた海外での調査を全てキャンセルしなければならなくなったため、次年度使用額が生じることになった。この次年度使用額は、次年度に海外調査を改めて実施する際に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)