2021 Fiscal Year Research-status Report
シェイクスピア後期作品群における女性表象の政治性について
Project/Area Number |
18K12331
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
塚田 雄一 同志社大学, 文学部, 准教授 (60780294)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イギリス / 演劇 / ロマンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「シェイクスピア後期作品群における女性表象の政治性について」では、ロマンスと歴史劇から成る一連のウィリアム・シェイクスピアの後期作品群と、同時期の政治情勢、人々の政治・社会認識の関係を解明し、シェイクスピア後期作品群の文化的・社会的意義について新たな見解を呈示・論証した。とりわけ、1612年のヘンリー王子の逝去、1613年のエリザベス王女のプファルツ選帝侯との結婚をはじめとした、市民の関心の的となっていた一大政治イベントに焦点を当てて当時の社会的な言説を精査した上で、シェイクスピア後期作品群に登場する時事性・政治性を帯びた女性表象を丁寧に分析し、両者の間の繋がりを分析した。 本研究は四部構成である。第一部「1610年代の政治言説」で、当時の人々の政治・社会認識を調査した上で、第二部「後期劇と宗教」、第三部「後期劇と軍事主義」において、シェイクスピア後期作品群に登場する女性表象が帯びていた時事性を分析した。シェイクスピアの『ペリクリーズ』、『冬物語』、『テンペスト』、シェイクスピアとジョン・フレッチャーの共作である『ヘンリー八世』、『二人の貴公子』を主な分析対象とした。第四部として、本研究のまとめを行っ た。シェイクスピア後期作品群が1610年代の政治情勢とどのように関係し、また当時の観客たちにとってどのような政治的・文化的な意義をもった作品でありえたかを、同時代の他の劇作家たちの例も交えながら論じた。 残念ながら、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な流行により、本研究の議論の精度を高めるための海外調査および国際学会での成果の発表を行うことができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は順調に進んでいるが、2019年度から2021年度にかけて、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な流行のため、計画していた海外調査および国際学会での発表を実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な流行のため、計画していた海外での学会出張を実施することができず、本研究に対する国外の研究者からのフィードバックを得る機会を失ってしまったため、今後、感染症の流行が収束した後、海外で成果を発表してフィードバックを得る計画である。そして、そのフィードバックを反映させることで、本研究の議論の精度を高めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2019年度からおよび2021年度にかけて、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な流行により、計画していた国内外の出張が実施できなくなった。そのため、計画していた旅費の執行を行うことができず、次年度使用額が発生することになった。2022年度、新型コロナウイルスの世界的な流行が収束した後、計画していた国内外での調査・出張を行う予定である。
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Research Products
(1 results)