2021 Fiscal Year Annual Research Report
'Border' Consciousness: Ulster Writing in the First Half of the 20th Century
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18K12332
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中村 仁美 立命館大学, 文学部, 准教授 (10739212)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アイルランド文学 / 北アイルランド文学 / アルスター / 文学と場所 / 南北分割 / 国境 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度に補助事業期間延長を申請したため、本年度が本研究課題の遂行最終年となった。これまでの研究活動を総括しつつ、文献資料の収集と講読を継続した。かねてより関心を深めている詩人パトリック・カヴァナ(Patrick Kavanagh)については、学術論文の執筆の他、青山学院大学の佐藤亨教授と共に小説 "The Green Fool"(1938)の翻訳に本格的に取り組んだ。本作品のなかでも、特に1910年代から20年代のモナハンを描いた章は本課題に関連する。また、2020年に詩人イヴァン・ボーランド(Eavan Boland)が逝去したことを受け、彼女によるカヴァナ詩の読解を中心にまとめた英語論考を執筆した(当該学術誌特別号の出版が遅れ、2022年度の発表となった)。 2020年度と同様、新型コロナウィルス流行の影響により海外渡航を控えたため、当初研究計画に記していたようなダブリンやベルファストでの資料収集は見送ることとなった。海外や国内の図書館の協力を通じて資料入手を試みたが、それでも限定的な面があったことは否めない。入手に成功した資料を読むうち、20世紀半ばのアイルランド及びアルスター/北アイルランドの作家たちにとって、文芸誌という場所が果たした役割に関心を抱くようになった。この点については、次なる研究課題の対象とし、今後調査していきたいと考えている。
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