2022 Fiscal Year Research-status Report
Narrating Democracy -- African American Literature as a Field of Practice
Project/Area Number |
18K12336
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
平沼 公子 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (90736612)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / アフリカ系アメリカ文学 / 黒人文学 / アメリカ現代文学 / 現代アフリカ系アメリカ文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.口頭発表「Unmarketable Black(academic)ness--Percival EverettのErasureと「ハイブラウ」なアフリカ系アメリカ文学」、中部アメリカ文学会例会(2022年9月)。本発表では、エヴェレットの『イレイジャー』が人種文学という枠組みにどのように抵抗しているのかを詳細に分析した。 2.論文「売れない黒人(知識)層 -- パーシヴァル・エヴェレットの『イレイジャー』における文学と人種の商品化の問題」を『黒人研究』第92号(黒人研究学会)に発表。1.の発表後、エヴェレットの『イレイジャー』について、より詳細な社会歴史的文脈を含めた分析・考察を行なった。第二次世界大戦後のアフリカ系アメリカ文学において、社会政治的なテーマとしての人種という側面がトーンダウンされ、個人の内面の問題としての人種(差別)がクローズアップされることがしばしあるなか、エヴェレットの『イレジャー』は、人種文学としてのアフリカ系アメリカ文学の文学史上の立ち位置について言及し、語りの振る舞いを通して文学の役割について読者に問いを投げかけている。本研究課題の文脈のなかで、この点を論じた。 3.口頭発表「黒人のヒステリー -- ゲイル・ジョーンズの『バード・キャッチャー』における病理化される黒人女性」、筑波アメリカ文学会(2023年3月)。
上記の研究発表原稿誌筆と論文執筆のための調査を元にした考察によって、アフリカ系アメリカ文学批評における冷戦期以降の言説へ抵抗する作家作品の出現と、それに対する批評動向が明らかになった。さらに、エヴェレットに代表されるような、主流のアフリカ系アメリカ人作家とは異なる形で人種言説を創作に組み込むアフリカ系アメリカ人作家たちの作品分析も進んだ。上記2つの研究実績を通して、本研究課題を完了させるための最終段階に至ったといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者は、本研究課題の助成期間中に1年未満であるが産前・産後休業および育児休業を2回取得したため、その期間においては研究を中断していた。しかし、その間はコロナ禍による海外渡航等も不可能な時期と重なり、助成事業の期間延長という柔軟な対応をすることによって、当初の研究計画からは大幅な変更をすることなく研究を遂行することができている。2022年度は、2021年度の調査で明らかとなった冷戦言説のアフリカ系アメリカ文学への影響についてさらに調査した上で、現代アフリカ系アメリカ文学における冷戦言説の影響、およびそれに抵抗する作家作品の分析を行なった。こうした研究成果を海外にて発表し、また総括する機会を得るまでに到達はしなかったため、2023年度まで研究期間を延長することで対応した。
以上のことより、本研究は概ね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は最終段階にあり、2023年度は2022年度後半における研究成果を、研究期間全体を通した研究成果と合わせて総括し、研究書の執筆を進める。
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Causes of Carryover |
本課題の遂行状況に記載の通り、本研究の最終段階として海外での研究成果発表および研究書執筆を予定しており、2022年度に実施ができなかったため、2023年度まで研究期間を延長し、対応・実施する。
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Research Products
(3 results)