2019 Fiscal Year Research-status Report
A Comparative Analysis of Boundary-Crossing Literature Written by Colonisers in the Caribbean and on the Korean Peninsula
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18K12354
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
杉浦 清文 中京大学, 国際英語学部, 准教授 (40645751)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 植民地主義 / 朝鮮半島 / 引揚者 / 白人クレオール / カリブ海地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、中京大学の在外研究制度を利用して英国に一年間滞在できたこともあり、とりわけ英国で開催された英語圏文学及び「ポストコロニアル」文学研究に関連した学会等に参加すると共に、英国でしかない資料を収集・整理することに専念できた。令和元年度の具体的な研究成果は、主に以下5点にまとめられる。 ①英国リーズ大学英文学研究科において、ジョン・マックラウド教授から「白人クレオール」文学、とくにローレンス・スコットとジーン・リースの文学研究に関する指導を直接受け、当該研究の視野を予想以上に広げることができた。②英国マンチェスター大学で9月11日から13日まで開催されたポストコロニアル研究学会(Postcolonial Studies Association)の大会に参加した。世界で著名な「ポストコロニアル」文学研究者の講演及び研究発表を聴講する中で、「ポストコロニアル」文学研究の最新の動向を把握することができた。③1月25日にリーズ大学で開催された精神分析学研究所(Institute of Psychoanalysis)のイベント「夢と幻滅」(Dreams and Disillusionment)に参加した。④リーズ大学の図書館において、日本では入手困難である、「白人クレオール」作家及び「ポストコロニアル」文学全般に関する資料収集・整理を行うことができた。また、大英図書館にも通い(1月27/28/29日、2月26/27/28/29日、3月6/7日、3月10/11/12/13日)、「白人クレオール」作家及び「ポストコロニアル」文学全般の貴重な資料を収集・整理した。⑤平成30年度に開催したシンポジウムで研究発表した内容を基にして論文(仮題)「少年時代の断片化された記憶――三木 卓と『ほろびた国の旅』」を書き上げた(令和2年度出版予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、日本において、「白人クレオール」の文学、「日本人引揚者」の文学、「比較文学」、「世界文学」、「ポストコロニアル」研究に必要な資料を購入・収集し精査した。また、「白人クレオール」の文学研究に関しては、黒人研究学会で研究発表を行い、さらには、「日本人引揚者」の文学の研究に関しては、シンポジウム「帝国崩壊と本国帰還―イギリス、ドイツ、日本における(旧)支配者たちの<語り>―」を日本比較文学会中部支部大会において開催した。そこでは「(旧)植民地で生まれ育った植民者」の観点から「日本人引揚者」の文学を多面的に検証した。 令和元年度は、平成30年度に開催したシンポジウム「帝国崩壊と本国帰還―イギリス、ドイツ、日本における(旧)支配者たちの<語り>―」で発表した内容を土台として論文(仮題)「少年時代の断片化された記憶――三木 卓と『ほろびた国の旅』」を執筆した(令和2度出版予定)。また、中京大学在外研究制度を通して一年間英国に滞在し、ジョン・マックラウド教授の指導の下、「白人クレオール」作家の研究を予想以上に進めることができた。加えて、リーズ大学の図書館、大英図書館において、「白人クレオール」作家及び「ポストコロニアル」文学全般に関する資料収集・整理を行った。さらに、ポストコロニアル研究学会(Postcolonial Studies Association)の大会に参加したことにより、当該研究の高い見識と業績を持った世界的に著名な研究者との知的交流を深め、令和2年度に開催予定である特別講演会及び研究会について具体的に検討することができた。 ただし、新型コロナウィルス感染症の世界的な拡大のため、韓国及びカリブ海地域への現地調査は自粛せざるを得なかった。しかしながら、それ以外の研究成果から判断する限り、研究計画はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、英語圏カリブ海諸島出身の「白人クレオール」の文学(主にジーン・リース、フィリス・シャンド・オルフリー、ローレンス・スコット)と、朝鮮半島からの「日本人引揚者」の文学(主に森崎和江と小林勝)を比較越境的に検証することが目的である。令和2年度は、最終年度となるので、これまで入手した資料を再検証し、研究発表及び研究論文の執筆を積極的に行っていきたい。令和元年に執筆した論文(仮題)「少年時代の断片化された記憶――三木 卓と『ほろびた国の旅』」は、令和2年度に、単行本の一章として出版する予定である(本論文は平成30年度に開催したシンポジウム「帝国崩壊と本国帰還―イギリス、ドイツ、日本における(旧)支配者たちの<語り>―」で発表した内容が基になっている)。 令和2年度は、当初の研究計画通り、ジョン・マックラウド教授を日本に招聘し、当該研究の課題「カリブ海諸島及び朝鮮半島における(旧)植民者の文学に関する比較越境的研究」にかかわるテーマで特別講演会と研究会を開催することになっている。また、国内外で開催される、「ポストコロニアル」文学研究に関連した学会、研究会、イベントに参加し、「日本人引揚者」と「白人クレオール」の文学を比較越境的に検証していくための情報収集を行っていく。 さらに、令和2年度も引き続き、当該研究に必要な図書を購入すると共に、国内外の研究施設において、当該研究を遂行する上で重要と考えられる実証的資料の収集・整理も行っていきたい。なお、現在のところまだ実現できていない、英語圏カリブ海諸島及び韓国での現地調査は令和2年度において必ず行わなければならないと考えている。
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Causes of Carryover |
令和元年度において29円の未執行額が生じたが、極めて少額のため該当年度の使用額をほぼ全額執行したといえる。
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