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2022 Fiscal Year Research-status Report

A Comparative Analysis of Boundary-Crossing Literature Written by Colonisers in the Caribbean and on the Korean Peninsula

Research Project

Project/Area Number 18K12354
Research InstitutionChukyo University

Principal Investigator

杉浦 清文  中京大学, 国際学部, 准教授 (40645751)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2024-03-31
Keywords植民地主義 / 朝鮮半島 / 引揚者 / カリブ海地域 / 白人クレオール
Outline of Annual Research Achievements

令和4年度における研究成果として、研究論文に関しては、『中京英文学』43号に掲載した論文「継母語で書かれた帰郷ノート――エドウィージ・ダンティカの『アフター・ザ・ダンス』を読む――」がある。この論文は、令和3年度の6月に行った黒人研究学会第67回全国大会シンポジウム「故郷と帰属――境界を再考する」における発表「Wide Sargasso Seaを読むこと――ハイチ系アメリカ作家Edwidge Danticatの場合」の議論をさらに推し進めた内容となっている。
次に、研究発表については、以下の2点が挙げられる。①日本アメリカ文学会中部支部主催の読書会において、山本伸氏(東海学園大学)と三輪恭子氏(名古屋短期大学)と共に登壇し、エドウィージ・ダンティカの『デュー・ブレーカー』について発表及び議論を行った。そのときの発表のタイトルは、「Edwidge DanticatのThe Dew Breaker (2004) を読む」であった。なお、この発表を通じて、令和3年度の10月に開催された日本アメリカ文学会第60回全国大会シンポジウム「〈ホラー〉の機能――恐怖のフィクションは〈アメリカ〉の何を表象するのか」で行った発表「恐れずに創作すること/書くこと――<移民芸術家>Edwidge DanticatのThe Dew Breaker を読む」の議論をより深くまで発展させることができた。②立命館大学ヴァナキュラー文化研究会において「ゾラ・ニール・ハーストンとエドウィージ・ダンティカにとってのゾンビ」と題した特別講演を行った。
令和4年度は、全体的に、ダンティカの文学を通して、白人クレオール作家ジーン・リースの描く複雑な故郷観やアイデンティティの様相を再考するきっかけを得たといえる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

令和4年度においては、とりわけ、エドウィージ・ダンティカの文学作品の読解を通して、白人クレオール作家ジーン・リースの故郷観やアイデンティティについて新たな観点から精査できる可能性を感じ取った。論文「継母語で書かれた帰郷ノート――エドウィージ・ダンティカの『アフター・ザ・ダンス』を読む――」(『中京英文学』43号)では、ダンティカが英語を「継母語」として捉えている点に着目した。その際、「母国」ハイチと「継母国」アメリカとの狭間で生きる「移民芸術家」としてのダンティカの複雑な立ち位置も明らかにすることができた。こうした検証はまた、リースの故郷ドミニカ島と英国との関係性を再検証する上でも重要であると考えられる。
加えて、山本伸氏(東海学園大学)や三輪恭子氏(名古屋短期大学)とエドウィージ・ダンティカの『デュー・ブレーカー』について奥深く議論できたことは、これまでの研究成果を大きく発展させる上で極めて貴重であったといえる(日本アメリカ文学会中部支部主催読書会:発表タイトル「Edwidge DanticatのThe Dew Breaker (2004) を読む」)。さらには、カリブ海地域のヴァナキュラー文化としてのゾンビ伝承に着眼し、ゾラ・ニール・ハーストンとダンティカにとってのゾンビ像を考察できたことは、白人クレオール、つまりは元農園主の末裔であるリースの抱くゾンビ像を再考する上で大きなヒントを得た。
とはいえ、ここ数年、国内外での現地調査を行うことは困難であった。令和4年度も、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、海外・国内での研究出張は控えざるを得なかった。また、とくに当該研究分野に深く精通した海外の著名な研究者を日本に招聘し、特別講演会及び研究会を開催することも難しかった。
以上の理由により、現在までの研究の進捗状況は、「やや遅れている」と判断した。

Strategy for Future Research Activity

本研究の最終年度となる令和5年度においても、引き続き、これまで収集してきた資料の整理・検証を行っていきたい。具体的には、令和4年度と同じく、リーズ大学の図書館及び大英図書館において令和元年度に収集した白人クレオール文学とポストコロニアル文学全般に関する資料を精査していく。
また、本研究の結論となる論文を数本発表したいと考えている。現在、ジーン・リースの文学作品を参照しながら、エドウィージ・ダンティカの『デュー・ブレーカー』に関する論文を執筆している。この論文の内容は、日本アメリカ文学会の第60回全国大会シンポジウムでの発表「恐れずに創作すること/書くこと――<移民芸術家>Edwidge DanticatのThe Dew Breaker を読む」の議論、さらには日本アメリカ文学会中部支部主催読書会での発表「Edwidge DanticatのThe Dew Breaker (2004) を読む」の議論をより進展させたものとなる予定である。並びに、戦後、朝鮮半島から引き揚げてきた日本人/(旧)植民地で生まれ育った植民者の故郷観に関する論文も執筆したい。
さらに、令和5年度は、これまで新型コロナウイルスの感染拡大のために実現できなかった国内外での現地調査も積極的に行っていかなければならない。具体的には、①国内及び国外(とりわけ、韓国、英国及び英語圏カリブ海諸島)の研究施設において、実証的資料を収集する。②国内外で開催される朝鮮半島からの引揚者やカリブ海地域の(旧)植民者の文学研究に関連した学会、研究会、イベント等に意欲的に参加していきたい。
以上が、令和5年度の研究推進方策である。

Causes of Carryover

令和4年度も、新型コロナウイルス感染症の蔓延のため、国内外での現地調査を行うことはできなかった。また、国外から研究者を日本に招聘し、対面での講演会や研究会を開催することも難しかった。今回、経費の次年度使用が生じた主な理由は、旅費と謝金を予定通り執行できなかった点にある。そのため、研究期間をさらにもう一年延長することにした。
令和5年度は最終年度であり、令和4年度の未使用額266,723 円を全て執行したい。具体的には、①国内及び国外(とりわけ、韓国、英国及び英語圏カリブ海諸島)における研究施設や図書館等での資料収集や現地調査を行う際、または当該研究に関係のある国内外の学会、研究会、イベント等に参加する際に旅費として執行する。②国内外で資料や図書を購入する時に物品費として執行する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] 継母語で書かれた帰郷ノート ――エドウィージ・ダンティカの『アフター・ザ・ダンス』を読む――2023

    • Author(s)
      杉浦清文
    • Journal Title

      中京英文学

      Volume: 43 Pages: 123-145

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] ゾラ・ニール・ハーストンとエドウィージ・ダンティカにとってのゾンビ2023

    • Author(s)
      杉浦清文
    • Organizer
      立命館大学ヴァナキュラー文化研究会
    • Invited
  • [Presentation] Edwidge DanticatのThe Dew Breaker (2004) を読む2022

    • Author(s)
      杉浦清文
    • Organizer
      日本アメリカ文学会中部支部

URL: 

Published: 2023-12-25  

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