2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K12361
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川崎 義史 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40794756)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スペイン語 / 年代推定 / 地点推定 / 分散表現 / 言語変化 / 深層学習 / 計量文献学 / ロマンス語 |
Outline of Annual Research Achievements |
・中近世スペイン語古文書の年代推定・地点推定の研究については,推定の副産物として得られる単語の分散表現に基づいて,各年代・地点に特徴的な単語群を網羅的に抽出することができた。得られた結果は先行研究と多くの点で一致しており,本手法の有用性を裏付けるものである。さらに,本手法により,従来研究では指摘されていない方言的特徴を発掘することも期待される。本研究は,計算歴史方言学の可能性を開拓した点で大きな意義がある。研究成果は次年度の国際学会で発表予定(採択済み)である。 ・中世スペイン語騎士道物語『アマディス・デ・ガウラ』とその続編『エスプランディアンの武勲』は,ともに同一作者による作品とされているが,その成立過程には不明瞭な点が多い。そこで,両作品を初めて計量文献学の見地から分析した。特徴量として品詞n-gram頻度を用いた。現代スペイン語の解析器で品詞タグを付与した後,可能な限り人手での修正を行い,出現頻度を求めた。多変量解析の結果,概ね定説を支持する知見が得られた一方で,従来考慮されてこなかった可能性もあることを示した。研究成果は国際学会で発表した。 ・古典ラテン語の動詞活用の平準化のモデリングの研究については,モデルとして採用したRNNの性能を一定水準に抑えることで,ある程度の量の誤出力を出すように調整した。本研究では正しい出力形とともに,誤出力も必要となるためである。出力パターンを分析したところ,各活用の正答率と実際の言語変化の大きさは強い負の相関を示した。つまり,正答率が高い(低い)活用ほど,実際の変化度合いは小さ(大き)かった。この結果は,本研究のモデルが実際の言語変化を一定程度再現していることを示唆している。本研究は,計算歴史言語学の可能性を開拓した点で大きな意義がある。研究成果は国内学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概ね実験は完了し学会発表も済ませているが,論文化が遅滞しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度が最終年度になるため,これまでに得られた研究成果を論文にまとめて発表する。
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Causes of Carryover |
予定していた海外出張がコロナ禍によりキャンセルになったため,未使用額が発生している。未使用額は,次年度の出張費,書籍購入費,英文添削費用に充当する予定。
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