2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K12373
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Research Institution | Nippon Bunri University |
Principal Investigator |
東寺 祐亮 日本文理大学, 工学部, 助教 (70758656)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 比較相関構文 / ホド / 容認性 / EPSAシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、度合いが関わる言語表現において提案されている分析の妥当性を検証することを目的としている。 比較相関構文「健はややこしい論文を読むほど疲れる」には、「読む」に焦点があたる解釈(たくさん読むほど疲れる)と「ややこしい論文」に焦点があたる解釈(論文がややこしいほど疲れる)がある。この構文について東寺 (2015, 2016) は「論文」のようなモノ(動詞の場合はコト)の構造的位置が解釈可能性を決定するという分析を提案している。2019年度は主として比較相関構文における分析の妥当性検証のための調査を行った。本調査では、生成文法の分析の妥当性を検証する目的で作られた容認性アンケート調査法のEPSA(Evaluation of Predicted Schematic Asymmetry)システムを用いた。分析を検証するために必要な6パターンの例文群、計72文を作成した。その例文の容認性判断を日本語母語話者およそ64名に依頼し、延べ4386の回答を得た。調査によって得たデータを分析した結果、「モノ(動詞の場合はコト)の構造的位置が解釈可能性を決定する」ことを示すための例文群では分析が予測する文法性と一致する調査結果が得られ、概ね分析が支持されることが明らかになった。一方、分析の予測と調査結果が一致しない例文群もあり、分析・調査内容の一部再検討が必要であることがわかった。 また、研究の過程で、ダケにも類似した現象が観察されたこと、程度を表すホドとの比較を行ったことなどにより広がりを得た。 成果発表について、2019年度は前年度行ったVスギル構文の調査結果の研究発表を行い、多数の有益な指摘をいただいた。調査例文に使用した文脈・語彙、得られた回答の分析方法について検討することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は予定していた比較相関構文のデータセット作成、日本語母語話者に対する調査、調査結果の分析を遂行することができた。また、比較相関構文のホドと関連するダケや程度を表すホドと比較することにより、比較相関構文についての議論を深めることができた。これら研究成果と、昨年度行ったVスギル構文の調査成果について学会発表(関西言語学会、東アジア日本語教育・日本文化研究学会)を行い、複数の研究者と交流して新たな知見を得ることができた。以上より、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の調査に予測と異なる結果が生じた例文群があったため、分析・調査内容の一部再検討が必要である。2020年度は、比較相関構文の分析・調査内容の再検討と補充調査を行う。また、2018, 2019, 2020年度の調査結果を統合し、研究成果の公表を順次遂行していく。
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Causes of Carryover |
各年度の調査で謝金を支払うことを予定していたが、無償での協力を得られたため学会発表のための出張旅費、研究環境整備のための物品費・図書費に充てた。残額は次年度必要となる出張旅費・物品費・図書費に充てる。
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Research Products
(5 results)