2018 Fiscal Year Research-status Report
過去分詞の動詞性と形容詞性-過去分詞形複合形容詞を手がかりに-
Project/Area Number |
18K12375
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
野間 砂理 琉球大学, 国際地域創造学部, 講師 (70724970)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ドイツ語学 / 過去分詞形複合形容詞 / 形容詞 / 過去分詞の素性 / 形態論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、動作受動文から状態受動文を経て複合形容詞化する語形成過程をもとに、(I)状態受動文における過去分詞の素性(形容詞性と動詞性)に関与する意味を明らかにし、 (II)過去分詞と一語化しうる項/付加詞の意味を語彙概念構造により意味論的に特定することで、当該語類における語形成過程および状態受動文における過去分詞の素性(動詞性 vs. 形容詞性)の統一的説明を目指すものである。 過去分詞形複合形容詞は、これまで音韻・形態・統語・意味・語用論の分野で個別に論じられてきたため、それらを横断的に把握する必要がある。研究初年度にあたる2018年度は当該語類を扱った先行研究をまとめ問題点を指摘し、今後の課題を明確にした(「ドイツ文学論集第51号」掲載済)。とりわけ意味論及び語用論の分野における問題点は、形容詞特有の性質(接頭辞の付加、比較級と最上級の形成、複合語の形成)の一部のみが過去分詞に適用できる場合の形容詞性を説得的に証明できないこと、また一つ一つの過去分詞に形容詞の性質を適用する分析手法では、過去分詞の統一的説明には至らないこと、さらに、状態受動文のみを考察の対象とし、そこへ様々な文脈を与え認容度を調査したところで、議論の根幹をなす過去分詞の素性が規定されるわけではないことにあり、今後の研究において最も解決すべき問題であることを確認した。本研究課題が採択された直後の5月11日に研究活動を中断したため(産休・育休)、本研究課題採択後約1か月間の研究実績は以上である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
産休(5/11~)により研究活動を中断したため、本研究課題には約1か月間しか取り組むことができなかった。復職後直ちに、中断した過去分詞形複合形容詞の意味分類を再開する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、コーパス等で収集した過去分詞形複合形容詞のデータをもとに、動作・状態受動文を作成し、その校閲を研究協力者に依頼する。また、状態受動文において過去分詞が結合する付加詞の意味の記述調査を再開し、語彙概念構造による意味分析を進めると同時に文脈による文法性判断の差異を調査する予定である。
|
Causes of Carryover |
本研究課題が採択されて約1か月後には研究を中断したため、当初予定していた消耗品費、旅費、人件費等は全額使用できなかった。従って研究活動再開後に、本年度使用予定であった研究書籍・文具類を購入するとともに、国内での研究発表を精力的に行う予定である。また、ドイツ語の例文等の文法性判断をドイツ語母語話者に依頼するため、当初の予定通り謝金を必要とする。
|
Research Products
(1 results)