2021 Fiscal Year Annual Research Report
Verbal and Adjectival Qualities of the Past Participle: With Reference to Past Participle Adjectival Compounds
Project/Area Number |
18K12375
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
野間 砂理 琉球大学, 国際地域創造学部, 准教授 (70724970)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 過去分詞 / 状態受動文 / 形容詞 / 過去分詞形複合形容詞 / コピュラ構文 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ドイツ語の状態受動文における過去分詞の素性「形容詞性vs. 動詞性」という未解決の学術的問いを出発点とする。今年度は動作受動文から状態受動文への変換の可否を決定付ける意味論的特徴が何かを特定した。 1回目の調査では、獲得を意味する動詞(入手する、戦い取る、捕獲する、せがんで入手する、犠牲を払って得る、征服する、せしめる、搾取するといった意味の動詞)を分析した。同じ意味の動詞bekommenは受動文を形成しないが、erbeutenを除く全ての動詞において状態受動文は生成された。その際、状態受動文の主語が持つ意味的な特殊性、即ち主語の質に対する言及が状態受動文の生成の可否を決定付けるのではなく、動詞によって表される活動の過程とその結果状態が、結果的に主語の質への言及にも繋がることを特定した。 2回目の調査では、達成動詞(燃料補給する)と活動動詞に終点を加えた動詞(平らげる、飲み干す、仕留める、案出する、引き出す、建設する)を取り上げた。通常は受動文を生成しない活動動詞でも、終点を加えることで形成可能となる動詞の語彙的特徴は、活動後の産物の有無にかかわらず、状態受動文の生成に深く関与することが判明した。また、活動動詞であっても現在時制を強調する付加詞の挿入により状態受動文が許容されることもあるが、どの程度まで許容されるかは母語話者の個人的な判断に依拠する。 本調査の結果、動詞の意味が広範ではなく活動状況が意味的に強く含まれる動詞において状態受動文が問題なく生成されると言える。その特徴を基に、アスペクト、活動の終点、活動時間の長さや活動後の成果物、永続を表す付加詞、移動の意味、文脈の助け等の要素が状態受動文の生成の可否を決定しうると結論付けた。しかし、上記以外の意味論的特徴の関与も十分に考えられるため、今後も動詞の意味を恣意的に限定せず、網羅的に調査することが求められている。
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Research Products
(3 results)