2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K12379
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野原 将揮 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (80728056)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 上古音 / 出土資料 / 秦簡、楚簡 / びん語 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度(2021)は秦簡のうち、雲夢睡虎地秦簡、周家臺秦墓簡牘、嶽山秦墓木牘、天水放馬灘秦墓簡牘、[カク]家坪秦墓木簡に見える通仮字を整理し、『センター研究年報2021』「特集 秦簡牘通仮例」(京都大学人文科学研究所附属東アジア人文情報学研究センター)でその成果を報告した。当該書で取り上げた通仮例はすべて陳偉編『秦簡牘合集(壱)(貳)(参)(肆)』に見えるものを採用している。 また国際学会等で発表したものとして、(1)「淺談“非”的上古音及相關問題」、(2)「淺談上古音*-r-:以《安大簡》的通假為例」、(3)「びん語中来自*m.r和*ng.r的来母字:兼論原始びん語在漢語史上的位置」(愛媛大学・秋谷裕幸氏との共著)、(4)「《漢簡語彙考證》訂補(四)―“訊”」がある。国内のミニ・シンポジウムでは「稲」の上古音について報告した。 (1)は否定詞「非」の字音を扱ったものである。「非」は上古の微部に相当するが、主母音が円唇母音であるのか、または非円唇母音であるかが定かではない。本発表は文字、方言等から「非」の主母音について考察を加えたものである。(2)は二等韻(三等重紐B)と上古音の*-r-との関係を論じたものである。主要な資料は秦簡ではなく楚簡であるが、一部睡虎地秦簡の用例を扱っている。本発表を通じて*-r-再構の仮説が妥当であることを示した。(3)はProto Hmong-MienとOld Chinese、Proto-Min、さらにEarly ChineseとOnsetの*m.r-(もしくは*mbr-)について論じたものである。(4)は「訊」の出土資料(秦簡と楚簡)に見える用例を整理したものである。 研究論文として、「説{狗}」(『岩田礼教授栄休紀念論文集』)で「狗(犬)」の由来について扱ったものが出版された。このほか5件の論文を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展しているが、新型コロナウィルスの影響で出張等の調整に変更が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
従来どおりすすめる。残りの秦簡の通仮例の整理を進めたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスのため出張等の調整にずれが生じているため。
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Research Products
(8 results)