2020 Fiscal Year Research-status Report
助数詞のカテゴリー化に関わる事物の「捉え方」の認知言語学的研究
Project/Area Number |
18K12383
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
濱野 寛子 名古屋学院大学, 経済学部, 講師 (50756971)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 助数詞 / 認知言語学 / カテゴリー化 / 捉え方 / 身体性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、助数詞「本」および「本」と関連する助数詞を取り上げ、事物を数えるときの「捉え方」について、認知言語学の理論的枠組みを用いて、より言語使用者の主体的な観点から再分析し、助数詞の意味記述に反映させることを目的としている。 2020年度は、引き続き「本」および「本」と関連する助数詞(「枚」「個」)について、コーパスにもとづく事例観察を通して、助数詞の選択に関わる意味的制約の再分析を行った。特に、数える際に数える事物のどのような意味的側面を捉えているかを探るため、収集した事例において数える名詞と共起する動詞の意味的特徴を観察し、数える名詞(事物)に対して意味的にどのように作用しているか分析を進めた。「本」や「枚」などそれぞれの助数詞の意味的特徴(線状性、平面性など)と関連性が見出しやすい動詞については、従来指摘されてきた破壊を意味する動詞(例:「折る」の目的語は助数詞「本」をとる)に限らない。そのため、本分析では、収集した事例から各助数詞の意味と関連が見出せる動詞をさらに特定し、これを足がかりに意味的制約の一般化を試みた。これまでのところ共起する動詞の意味分析において、助数詞の選択に影響すると考えにくい意味的特徴は多くみられる。しかし、本研究は従来の規範的制約にもとづく助数詞の意味記述を問題視し、事物の「捉え方」の観点から再分析を試みていることから、これらの一見関連がなさそうに見える意味的特徴も含め、数える者の事物への主体的な関わりがどのような意味的制約として成り立つか、より考察を進め精緻化を図る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ禍の影響により教育業務への対応が大幅に増えたことから、他の研究活動も含め本研究の研究時間を十分に確保するのが困難であった。そのため、当初は2020年度が本科学研究費助成事業の最終年度であったが、延長申請し引き続き研究に取り組むこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの分析をもとに統計的手法による定量分析を行い、成果を学会等で発表していく。 また、昨年度実施予定であった助数詞の質問紙調査についても実施し、数える事物の標準的な捉え方について調べるとともに、本研究でこれまで行ってきたコーパスによる分析の妥当性を検証する。
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Causes of Carryover |
本科研費助成事業はこの2020年度が最終年度であったが、研究の遂行に遅れが生じたことから、助成金も未使用分が発生した。未使用分は、延長した次年度に繰り越し、昨年度までに実施できなかった研究調査や発表のために使用する。
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