2023 Fiscal Year Annual Research Report
A Cognitive Linguistic Study of the Categorization System of Japanese Numeral Classifiers: Focusing on a Speaker's "Construal" of Counting Entities
Project/Area Number |
18K12383
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
濱野 寛子 名古屋学院大学, 経済学部, 講師 (50756971)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 経験に基づく知識 / 助数詞 / 捉え方 / 容認度判定 / 統計的手法による分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度までで行ったコーパスを用いた助数詞と動詞の意味的関連についての分析を、日本語教育システム研究会第10回国際研究集会で発表した。そして、話者の事物の捉え方が助数詞の選択に影響を与える可能性について探るため、話者の特定の職業や趣味等の経験が助数詞の選択に反映されるという議論(cf. 井上 1999)をもとにしたウェブ調査を実施した。本調査では、従来の研究で指摘されてきた魚の数え方を取り上げ、漁業関係者や趣味等で魚と接する機会が多い人とそれ以外の人とで、魚の数え方についての容認度を判定してもらった。その結果、前者の方が数える対象(魚)の形状的特徴に基づく助数詞に対する容認度が高い傾向がみられた。本調査結果は、濵野(2022)の調査と同様、特定の対象に関わる(経験に基づいた)知識量の違いが、その対象の数え方に影響を与える可能性を示唆するものといえる。
研究期間全体を通じた成果として、コーパスやウェブ調査によって、特に助数詞の事物の捉え方の問題に関して、助数詞の使用の実態をより明らかにしたという点があげられる。特に、話者の職業等の観点から数え方の違いを調べる研究はこれまで行われていなかったため、本研究は、従来指摘されてきた、数える者の数える事物との(主体的な)相互作用が助数詞の選択に影響を与える可能性に関する議論をさらに進めることができたといえる。これについては、話者の経験に基づく知識量が関与している可能性が実証的分析によって示され、今後、助数詞の意味記述の精緻化において貢献できるものであるといえる。
なお、本年度実施した調査やこれまでのコーパスを用いた分析の成果については、引き続き学会や論文等で発表していく予定である。
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