2018 Fiscal Year Research-status Report
The Early Acquisition of Korean Morphology based on MLU and The Korean Morphological analysis
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18K12384
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
柳 朱燕 愛知淑徳大学, 教育部門・センター, 講師 (40647682)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 第一言語習得研究 / 韓国語の幼児言語獲得過程 / 言語習得資料のコーパス構築 / MLU(平均発話長) / CHILDES |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、CHILDES(Child Language Data Exchange System)で公開されているRyuコーパスを利用し、MLUを基にして韓国語の基礎文法の中心に当たる助詞及び動詞の活用形態素の獲得順序を明らかにすることを目的とする。また、Ryuコーパスにおいて、形態素分析を行い、大量の自然発話データを効率的に分析できるようにシステムを構築することも本研究の目的である。 平成30年度は韓国語の基礎文法の習得に関して、助詞の獲得を中心に研究を行い、Ryuコーパスから抽出した3,723文を分析し、五つの助詞の習得順序を明らかにした。韓国語の助詞習得過程はRyuコーパスの3人の子どもの間で一致しており、「目的格lul/ul」→「独立助詞(追加)do」→「主格ka/i」→「主題nun/un」→「所有格ui」の習得過程を見せることが分かった。この結果は次年度に国際学会で発表する予定である。 また、Ryuコーパスの形態素分析研究に関しては、日本語コーパスであるJCHATの運営プログラムを入手し、JCHATのシステムを分析しながらRyuコーパスに適応できる方法を探っていた。JCHATのように形態素のタグ付けと文種類や状況説明などのコメントを入れるためには、まず文法の分析が可能にするプログラムを開発しなければならない。今年度はJCHATを慎重に分析し、次年度は韓国語を対象にした文法分析プログラムを開発する計画である。文法分析に加え、コーパスの形態素タグ付けのためには語彙辞書(lexical dictionary)が必要である。今年度はRyuコーパスから3人の幼児が発話した9,460tokenを取り出し、名詞の語彙辞書を作成する作業に着手した。まだ作業中であるが、次年度もその作業を引き続き遂行する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である「平均発話長(MLU)による韓国語の初期文法発達の解明」はおおむね達成した。本研究では初期文法発達の項目として「助詞」と「動詞の活用形態素」を設定し、その発達過程を明らかにすることを具体的な研究課題にしている。今年度、交付申請書に記載した研究計画のとおり、「韓国語の助詞」における習得過程を明らかにした。CHILDESで公開されているRyuコーパスの分析の結果、3人の幼児の助詞習得過程が一致しており、「目的格lul/ul」→「独立助詞(追加)do」→「主格ka/i」→「主題nun/un」→「所有格ui」の習得過程を見せることが分かった。しかし、助詞の習得は形態論だけではなく統語論的な観点からの分析が必要となり、先行研究やコーパスの再解析を行っている。「韓国語の幼児言語コーパスの形態素分析」に関しては、JCHATプロジェクトの責任者の協力を得て、形態素分析作業に着手している。現在はJCHATのシステムを見本として韓国語のコーパスにどのように適用できるかを探っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度行われた「平均発話長(MLU)による韓国語の助詞発達過程」に関する結果を基に、統語論的な発達過程に関する考察を追加し、「韓国語の格助詞の第一言語習得過程」を主題にした論文を執筆し、国際ジャーナルに投稿する計画である。また、「韓国語の幼児言語コーパスの形態素分析」に関して形態素を付加する作業を来年度本格的に行う計画である。現在、Ryuコーパスを分析し、3人の幼児が発話した9,460tokenを取り出し、語彙辞書を作っている。来年度は語彙辞書と文法分析プログラミングを完成させる計画である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては人件費の未使用が挙げられる。現在Ryuコーパスは幼児と養育者の自然発話が記録されており、本研究の課題である「幼児言語コーパスの形態素分析」までは進んでいない。本年度の研究計画として韓国語の文法分析を行い、「形態素のタグ付け」作業を人件費を使って遂行する計画であったが、「形態素のタグ付け」作業より先行する文法分析の作業が遅れてしまい、人件費の使用が無かったことになった。韓国語の文法分析においては、日本語のJCHATのシステムを分析し、韓国語にそのシステムを適用するように研究している。しかし、JCHATのシステムもかなり複雑な体系を持ち、データの量も少なくはない。従って、膨大な量のデータがどのような仕組みで動いているのかを理解するためにかなり時間がかかってしまった。次年度は人件費を使い、分析した結果を基にして「形態素のタグ付け」作業に集中して進める計画を立てている。その他に次年度は海外学会への参加等で旅費を支出する予定があり、論文投稿に伴う経費も支出する予定である。
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