2018 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Japanese Indeterminate Pronoun and Its Reduplication
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18K12386
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
工藤 和也 龍谷大学, 経済学部, 講師 (30736096)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 不確定代名詞 / 重複表現 / 不特定の単数 / 閉鎖引用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、生成文法の枠組みに従って、「誰々」や「何々」などの日本語の不確定代名詞重複表現の意味的・統語的特徴を明らかにすることである。本年度は、不確定代名詞重複表現の意味的特徴および統語的分布の記述を試みた。 意味的には、当該表現が「不特定の複数」を表すという重複表現一般にみられる用法と、「不特定の単数」を表すという不確定代名詞重複表現にしかみられない用法の両方を持っていることが明らかになった。前者の意味は後者の意味よりも日本語における成立の時期が早く、特に、後者の意味は近代以降に成立した比較的新しい意味であると考えられる。また、前者の意味は現代語ではかなり薄れてきているが、一部の方言でまだ使用されていることも明らかになった。 統語的には、当該表現が「閉鎖引用内でしか認可されない」という先行研究の妥当性を検証する中で、当該表現が直接引用では使用できるが、間接引用では使用できないことをインフォーマント調査などで実証した。しかし、当該表現の分布が引用節内に留まらないと思われる新たなデータも発見したので、今後は、当該表現の統語的分布を正確に記述できる一般化の提案に向けてさらなるデータの精査が必要である。 なお、当該表現と類似の表現として、ドイツ語にder und derのように定冠詞を等位接続詞でつないだ表現や、ブルガリア語にedi-koj siという表現があることもわかった。これらはいずれも先行文脈で特定可能な不特定の単数の人物を表すという点で、日本語の不確定代名詞重複表現の「誰々」に似ているが、その統語的な分布はそれぞれ若干異なっているようである。これらの関連表現も含めて、日本語の不確定代名詞重複表現の意味的・統語的特徴をさらに詳しく検証していくことが今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画段階では、初年度は不確定代名詞が他の不変化詞と合成された「誰か」や「誰も」の意味研究にあてる予定であったが、これについては生成文法における先行研究の蓄積が十分にあったので、本年度はそこからさらに進んで不確定代名詞重複表現の意味的・統語的特徴の研究に専念することができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、日本語の不確定代名詞重複表現の統語的分布を正確に記述できる一般化の提唱と、当該表現の意味的な分析が研究の中心課題になる。加えて、当該表現が日本語の歴史においてどのように成立してきたかという通時的研究や、諸外国語の類似表現との比較を通して当該表現の特徴を探る通言語的研究も並行して実施していく。
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Causes of Carryover |
今年度は出張を行わず、旅費を使用しなかったため次年度使用額が生じた。次年度使用額は、当初の研究計画通り、物品(主に図書資料)の購入と出張旅費に使用する。
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Research Products
(1 results)