2021 Fiscal Year Annual Research Report
A cognitive-pragmatic study on understanding empathy through question-answer sequences in medical discourses in Japan
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18K12387
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
後藤 リサ 関西外国語大学, 英語国際学部, 准教授 (00712100)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ロールプレイング会話 / 認知語用論 / 共感的コミュニケーション / 談話分析 / 質問ー応答のインタラクション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本語の診療場面の会話を収録し、医療従事者と患者が共感を得ていく過程(共感のプロセス)において、どのような質問(および応答)が適切に機能したか/しなかったのかを言語学的な手法を用いて明らかにすること、およびその成果を医療現場に還元することを目的としている。本年度の研究活動内容詳細は、以下の3点にまとめられる。 (1)言語学的分析手法を診療場面の会話データの分析に適用することの意義を再検討した。医療系学会ではよく知られる医療人類学や現象学的解釈の視点を再考し、本研究が依拠する関連性理論が主軸とする分析視点をそうした従来の解釈理論的な視点に融合した分析を行った。 (2)上記(1)に挙げた言語学的視点からの発話解釈の手法を、言語学系学会のみならず医療系の学会において紹介した。特に、2022年3月に行った文化看護学会では、神田千春氏と共同で、言語学的視点(特に関連性理論)による分析手法を紹介することを目的としたワークショップを行った。 (3)研究成果の医療系学会での公表については、本研究の当初からの目的の一つであったが、本年度は自治医科大学看護学部の本田芳香氏、鹿野浩子氏、湯山美杉氏らの研究協力を受け、国内外の複数の看護系学会における共同発表および共著論文の形式で公表した。その際、主に、自治医科大学看護過程演習で行われたロールプレイ会話の音声データ(倫理審査承認番号:自治医科大学臨大21-017、関西外国語大学2021-1)を分析対象とし、上記の言語学的な分析手法を適用した。この分析の成果を自治医科大学の教員らと共有することは、医療現場への還元という当初の目的の一つを果たしたこととなり、教育的見地からも意義があることと考えている。
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