2022 Fiscal Year Research-status Report
The Effects of Language Environmental on Language Shift: The case of Okinoerabu Language, Ryukyuan
Project/Area Number |
18K12392
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
横山 晶子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 特別研究員(RPD) (40815312)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 危機言語 / 言語移行 / 琉球諸語 / 沖永良部島 / 言語変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本の危機言語の1つである、琉球諸島沖永良部島の言語(沖永良部語)について、言語衰退の社会的な背景を、言語実験とインタビュー調査から明らかにすることである。 今年度は、まず、島内505名を対象としたアンケート調査の結果を論文としてまとめた。それによると、方言の理解度、産出能力の自己評価は出身地(島内/島外)により大きな違いがある。島内出身者に限定すると,方言の理解能力の自己評価が高い世代は30代以上なのに対し,産出能力の自己評価が高い世代は50代以上で,方言の理解(聞く)よりも,産出(話す)がより難しく感じられていることが分かった。 次いで、国頭集落の29名を対象にしたインタビュー調査のデータを整備し「言語・文化教育」「言語使用」「言語能力」「言語意識」「地域意識」「メディア」「島外経験」「結婚」に関するコーディングした。 このうち「言語教育」について、学校では大きく(1)方言に対する特別な対応がない(1925年生以前の方が体験)、(2)方言禁止(1927年生~1968年生)、(3)方言禁止なし、郷土学習等あり(1971年生~1990年生)、(4)方言学習あり(1992年生以降)、の時代があったことが分かった。 また、家庭内での言語使用については、(1)家族から方言で話しかけられていた世代(1925年~1961年生):方言を理解して話すことができる、(2)親は方言、本人は共通語で話しかけられていた世代(1959年~1975年生):自分では話さないが、聞いたらほぼ完全に理解、(3)親世代以降が共通語になった世代(1980年生以降):しまむにの理解度は急激に下がり始める、の3つの世代に分かれることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、アンケート調査の結果を論文としてまとめられたこと、インタビュー調査のデータ整備・コーディングが出来た点で進展があった。ただし、インタビュー調査については、考察予定の一部の項目にしか分析が進んでおらず、また口頭での報告にとどまっているため、来年度は分析を終わらせ、論文化につなげたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の予定は以下のとおりである。(1)excelでコーディングしたデータをMAXQDAに移行し、より構造化されたデータ構築を進める。(2)これまで分析した言語教育、言語使用、と言語衰退との関係について論文にまとめる。(3)まだ分析を終えていない、「言語能力」「言語意識」「地域意識」「メディア」「島外経験」「結婚」と言語衰退の関係の分析を行う。
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Causes of Carryover |
昨年度までの感染症拡大で、予算が繰り越されてきたたため、今年度も次年度使用額が生じた。今年度は移動に関する制限もなくなるため、調査出張や学会発表のために使用したい。
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