2023 Fiscal Year Annual Research Report
Syntactic and Semantic Analysis of Negative Concord Phenomenon Based on Stacking of Focus Particles in Japanese
Project/Area Number |
18K12393
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Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
井戸 美里 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究系, 特任助教 (20802606)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 意味論 / 統語論 / 語用論 / とりたて詞 / 否定呼応現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「...しか~ない」「...などは~ない」「...くらいも~ない」などの「とりたて詞」と呼ばれる語群が否定と呼応する現象を対象に、否定呼応現象とは、どのような意味を持つ語を、どう組み合わせたときに起こるものなのか、その統語と意味のメカニズムを明らかにすることを目的としたものである。2023年度は本研究計画の最終年度にあたる。本研究では、日本語のとりたて詞に見られる否定呼応現象を分析するうえで重要な概念を複数報告することができた。本研究計画において、最終的に学会発表12件、雑誌論文3件、書籍の分担章4件、単著書籍1件の研究成果を発表した。 とくに2023年に刊行した書籍は、本研究成果の取りまとめとして重要である。本書籍では、否定的評価を表すとりたて詞の「ナンテ…ない」などの現象を中心に、これらの否定呼応現象が先行文脈と認識主体による態度に本質的に関与していることを示し、これまでの否定のスコープによる分析を批判し、述部の否定辞は必須の要素ではないことを示した。 また、2021年に発表した共著論文では、否定呼応を持つとりたて詞とそうでないとりたて詞の意味の違いとして、ダケとシカ・・・ナイを取り上げ、これらの意味現象を説明するうえで、maximalityの概念が有効であることを報告した。 そのほか、本研究に関連する否定呼応現象としてカケラモ、ハ、ソンナニ、アマリなどのとりたて詞・副詞表現を分析し、これらの表現が先行文脈や認識主体の知識や評価に関係していることを報告した。
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