2018 Fiscal Year Research-status Report
英語のswiping構文に対する総合的理解へ向けての通時的及び共時的研究
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18K12410
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
岩崎 宏之 東邦大学, 薬学部, 講師 (50816056)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | swiping構文 / 省略構文 / 英語史 / 現代英語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、英語のswiping構文に関する先行研究が専ら現代英語の例を対象としながら共時的観点でなされていて、本格的な通時的観点からの研究は未だ存在していないという現状を踏まえ、そのような通時的研究を実施し、その結果と共時的研究とを組み合わせることを通じて、当該構文に関する総合的な理解を得ることを目指している。 本年度は、古い時代の英語におけるswiping構文の例を収集し、それらの例が先行研究の中で提案されてきた共時的分析と符合しているか否かを検証する課題に取り組んだ。まず、調査結果に基づきながら、英語のswiping構文が英語の歴史上いつ初めて出現し、いつ頃から生産的になっていったのかを明らかにした。続いて、swiping構文の共時的研究において最も広く支持されている前置詞残留分析に着目し、英語の前置詞残留の通時的変遷と英語のswiping構文の出現様態との間に乖離が生じていることを観察し、英語のswiping構文に対する前置詞残留分析が必ずしも妥当であるとはいえないことを論じた。この成果は、東邦大学教養紀要第50号にて研究論文として公表している。 さらに、Tsukuba Global Science Week 2018: Data Science in Collaboration on Language(DASIC)において発表を行い、英語史におけるthat痕跡効果の出現が、英語の歴史の中で埋め込み節のCP領域が複雑化していった過程の中でTopicという機能投射(TopP)が利用可能になったことと関連していると論じ、先行研究による統語分析も話題という概念に言及しながら再解釈できる可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように、本年度の研究を通じて英語のswiping構文に対する前置詞残留分析の非妥当性を示し、先行研究における主要分析に関して新たな視点を提供することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果である英語のswiping構文の出現様態に関して、その説明に向けた考察を行う。
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Causes of Carryover |
(理由) 今年度より研究代表者が所属機関を異動したことに伴い、新所属機関での業務に対応させる形で、研究の環境・体制を新たに練り直す必要が生じたため。 (使用計画) 次年度は、国際・国内学会への参加を積極的に行う。また、当初の予定以上の英語論文の投稿を目指して、英文校閲に関する費用としても使用する。
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