2020 Fiscal Year Research-status Report
英語のswiping構文に対する総合的理解へ向けての通時的及び共時的研究
Project/Area Number |
18K12410
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
岩崎 宏之 宇都宮大学, 共同教育学部, 助教 (50816056)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | swiping構文 / Swiping without Sluicing / 省略構文 / 等位接続 / 現代英語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、英語のswiping構文に関する先行研究が専ら現代英語の例を対象としながら共時的観点でなされていて、本格的な通時的観点からの研究は未だ存在していないという現状を踏まえ、そのような通時的研究を実施し、その結果と共時的研究とを組み合わせることを通じて、当該構文に関する総合的な理解を得ることを目指している。 本年度は、現代英語のswiping構文を対象とした共時的研究を行った。焦点を当てたのは、Swiping without Sluicingと呼ばれている、swiping構文の一例として近年観察がなされた現象である (when and who by was this definition first put forward?)。この現象は、疑問詞の等位接続を伴っていればスルーシングが適用されなくてもよいという点で、スルーシングの適用が義務的であるそれまで以前に研究がなされてきたswiping構文とは異なる。従って、先行研究のようにSwiping without Sluicingをswiping構文の例とみなすことが妥当なのかどうかは、決して自明ではない。本年度の研究により、Swiping without Sluicingは非文法的であるにもかかわらず容認可能となっている言語現象であり、その容認可能というステータスはSwiping without Sluicingの特徴である等位接続に由来することを明らかにした。更に、この分析に基づきながら、Swiping without Sluicingはswiping構文と区別されるべきであることを論証した。この成果は、Tsukuba Global Science Week 2020において口頭発表を行い、Data Science in Collaboration, Volume 4にて論文として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Swiping without Sluicingの最も重要な被説明項といえる「Swiping without Sluicingに等位接続が関与するのはなぜなのか」という問いに対して、1つの合理的な解が提示できたため。また、本研究の含意として、「言語能力 (competence) の解明を目指す言語理論にとって、その潜在的反証例となる実際の用例が存在していたとしても、それが言語運用 (performance) のレベルで認可されている可能性があり、必ずしも真の反例とはならない」という命題を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
期間延長が受理されたので、本研究課題の締めくくりとして、英語の歴史変遷の中で現代英語のswiping構文が発達した仕組みの解明に取り組む。
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Causes of Carryover |
(理由) 今年度より研究代表者が所属機関を異動したことに伴い、新所属機関での業務に対応させる形で、研究の環境・体制を新たに練り直す必要が生じたため。 (使用計画) 新型コロナウイルス感染症の状況を見定めながら、積極的に国内学会・国際学会に対面参加する。また、英語論文の発表に向け、英文校閲費にも充てる。
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