2022 Fiscal Year Annual Research Report
A Diachronic and Synchronic Study of Swiping in English for Its Comprehensive Understanding
Project/Area Number |
18K12410
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
岩崎 宏之 宇都宮大学, 共同教育学部, 助教 (50816056)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | swiping構文 / 英語史 / where複合語 / 前置詞残留 / 動的文法理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、英語のswiping構文に関する先行研究が専ら現代英語の例を対象としながら共時的観点でなされていて、本格的な通時的観点からの研究は未だ存在していないという現状を踏まえ、そのような通時的研究を実施し、その結果と共時的研究とを組み合わせることを通じて、当該構文に関する総合的な理解を得ることを目指している。 本年度は、「swiping構文が英語において初めて出現したのは後期近代初期期である」という本研究課題の主要成果に基づき、「swiping構文が創発したのが後期近代初期期だったのはなぜか」という問いに取り組んだ。その過程で着目した言語現象は、中英語期より用いられるようになっていた関係詞としてのwhere複合語である。where複合語の中には意味が多様化して曖昧になったものが存在するが、この状況は「言語形式と意味は1対1対応する」という一般的傾向に反している。故に、この一般的傾向に沿うよう、当時の英文法が拡張したと考えることはごく自然なことである。この英文法の拡張に関してKajita (1977) を嚆矢とする動的文法理論に即した分析を提案し、where複合語の意味の曖昧性を契機として関係節内での前置詞残留がより生産的になったと論じた。前置詞残留はswiping構文と密接に関連することが先行研究により既に指摘されているが、英語史においては前置詞残留とswiping構文との関係を仲立ちする役割を担ったのがwhere複合語であったことが、本分析を通じて明らかとなった。 この成果は、2023年度に発行予定の『近代英語研究』第39号に掲載されることが決定している。
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