2020 Fiscal Year Research-status Report
A Syntactic Analysis on Meaning Change in Elliptical Constructions in Japanese and English
Project/Area Number |
18K12412
|
Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
前田 雅子 西南学院大学, 外国語学部, 准教授 (00708571)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 統語論 / 削除 / coordinated wh-questions / 倒置文 / 長崎弁 / 敬語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、省略は文の意味を変えるという仮説を立て、日英語を中心とした実証研究を行うことを目標とする。また、省略現象に対して、意味部門での操作が深 く関わるLFコピー分析と、音韻部門での操作が深く関わるPF削除分析のどちらが妥当かを検証することを目標とする。 2020年度は、削除文研究の一環として、日英語におけるcoordinated wh-questionの統語特性について、同志社大学の瀧田健介氏と福井大学の中村太一氏と共同研究し、同構文がPF削除により派生されると主張した。また、同研究結果を国際学会Japanese/Korean Linguistics 28で口頭発表した。また、別の削除文研究として、英語におけるas-倒置文、so-倒置文、比較倒置文における主語の位置と義務的削除の関係を研究し、同関係性が倒置文におけるラベル付けから動機づけられると主張した。さらに、同研究結果を日本英文学会九州支部第73回大会シンポジウム英語学部門で口頭発表した。 また、統語ー音韻インターフェース条件について、日本語における標準語と長崎弁の敬語形態素の生起環境を、動詞句の階層構造との関連から研究した。さらに、敬語形態素と受け身形態素について、標準語ではそれらが音韻的に同一であるため共起制限がかかるのに対し、長崎弁ではそれらが異なる音韻を持つため共起できることを明らかにした。また、標準語における共起制限も、削除により受け身形態素が音韻的に顕在化しない場合には緩和されることを明らかにした。これらの研究成果を、言語変化・変異研究ユニット第6回ワークショップや国際学会22nd Seoul International Conference on Generative Grammarで口頭発表し、西南学院大学外国語学部論集Vol. 1に寄稿した。 さらに、神田外語大学遠藤喜雄教授と「カートグラフィー(最新英語学・言語学シリーズ)」を共同で執筆し、開拓社より出版した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日英語のcoordinated wh-questionsや、英語の倒置文における義務的削除、日本語における標準語、長崎弁の敬語形態素の生起環境について、統語ー音韻インターフェースに基づき分析した。さらに、削除文に深く関わるトピック、フォーカスについて理解を深めるため、カートグラフィー分析も進めた。このような研究内容について、1編の共同著書、4編の論 文を執筆した。論文のうち、2編の論文が2020年度に公開され、残り2編が2021年度に掲載確定している。また、同研究成果を2つの国際学会、2つの国内学会で発表した。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年度であるため、削除文における意味変化と統語ー音韻インターフェース条件の研究をまとめ、学会発表や論文執筆をする。特に、研究成果をGlossaやJournal of East Asian Linguisticsなどの国際誌などに投稿する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの蔓延により、学会出張ができなかったため。また、オンライン授業・オンライン学会開催の準備に時間がかかり、研究時間の確保が難しかったため。
|
Research Products
(6 results)