2021 Fiscal Year Annual Research Report
Synchronic and Diachronic Variations on Subextraction out of Noun Phrases
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18K12415
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
小池 晃次 愛知淑徳大学, 教育部門・センター, 講師 (50804431)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 共時的・通時的変異 / 名詞句からの抜き出し / 英語 / 生成文法 / wh移動 / 外置 / 循環的線形化 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究成果に基づいて、英語とイタリア語における外項からの部分的抜き出し可能性の違いを分析し、それを論文の形で公表することを今年度の目標として設定した。この研究計画通り、『言語の本質を共時的・通時的に探る』という上記のテーマに相応しい論文集に論文を投稿し、無事に本研究課題期間中に成果を残すことができた。また、研究を進めるなかでUriagereka(1999)のスペルアウト領域の考えを援用すれば、本研究が提案する線形化に基づく分析の下で英語の直接目的語と間接目的語からの部分的抜き出し可能性の違いまでも説明できることに気付いた。付加詞からの抜き出しに関する昨年度の考察と組み合わせることで、項と付加詞からの抜き出しに対する線形化に基づくアプローチというタイトルで論文投稿あるいは研究発表を計画中である。抜き出し現象に対してはこれまで統語的あるいは意味的なアプローチが主流であったので、省略による救済を背景とした音韻的なアプローチを掲げる本研究は当該分野に一石を投じることになった。 また、関連現象である英語における主語・助動詞倒置にも研究射程を広げ、ラベル付けというこれまで探究されてこなかった観点からまったく新しい分析を提案した。Haegeman (1995)やRizzi (1997)以来、生成文法の枠組みで現行の理論と互換性のある分析は私が知る限りないため、本研究の提案は当該分野における今後の研究にとって貴重な叩き台として位置づけられる。この研究成果に基づき、日本英語学会第39回大会において「SAI再考:ラベル付けの観点から」というタイトルで研究発表を行なった。さらに、他の研究者から頂戴した質問やコメントに基づいて改稿し、日本英語学会が発行するJELS第39号に同タイトルで論文を投稿し、無事に掲載に至った。
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