2018 Fiscal Year Research-status Report
The acquisition process of hedging expressions by Japanese learners: An interlanguage pragmatic analysis
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18K12418
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀田 智子 東北大学, 国際文化研究科, GSICSフェロー (30732391)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中間言語語用論 / 日本語学習者 / ヘッジ表現 / 語用論的能力 / 習得過程 / 縦断的調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本語学習者のヘッジ表現の習得過程を中間言語語用論の枠組みから明らかにすることである。縦断的調査に基づき、受容 (Reception) と産出 (Production) の両側面からヘッジ表現使用における語用論的特徴の変化を考察するとともに、発達に関わる手がかりを探る。 2018年度は、以下のように、語用論的受容能力と産出能力、影響要因に関する理論的研究と研究デザインの検討に注力した。(1)中国語を母語とする日本語学習者を対象としたデータに基づき、産出されたヘッジ表現の機能に学習者母語が影響するか可能性について分析した。その結果、学習者は「発話内容緩和」よりも「命題の不確かさ」を示すヘッジを優先的に使用しており、日本語母語話者と異なることが明らかになった。また日本語母語話者との差異が生じる原因として,母語からの語用論的転移(正の転移・負の転移)の影響があることが示唆された。本結果は、JSLS2018において口頭発表を行い、日本語教育関係者や第二言語習得論研究者からフィードバックを受けた。 (2) 語用論的受容能力の測定については、日本語レベルや発話内容などを検討しながら聴解スクリプトの一次案および予備実験用の音声ファイルを作成した。(3) 産出能力については、日本語レベルやテーマの難易度などを総合的に検討しながらタスクシートを作成後、日本語学習者および日本語母語話者を対象に、複数回、予備調査を実施し、適宜修正を行った。 (4) 音声資料(産出された会話)のトランスクリプト・システムを検討するため、予備調査で収集した会話の一部について文字化作業を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)文献調査、(2) 実験材料の選定、(3) データ化(トランスクリプト・システムの検討)に想定以上の時間を費やした。調査対象とする留学生の来日時期の関係もあり、2019年10月から本調査を開始する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、予備調査の後、本調査を開始し、データの整理を行いながら、分析作業を行う。具体的には、以下のように予定している。(1)語用論的聴解テスト実施のための実験用プログラムの完成、(2) 本調査として、日本語母語話者を対象に、①ペア会話と②語用論的聴解テストを行い、ベースライン・データとする。(3)日本語学習者については、第1回目の本調査として、上記(2)の①日本語母語話者とのペア会話(産出能力)、②語用論的聴解テスト(受容能力)、③質問紙調査、の3種類を行う。 (4)上記(2)(3)で収集したデータは、随時、入力作業を行う。 (5)分析結果の一部については、日本語教育、第二言語習得研究などの関連分野の専門家からのフィードバックを得るため、日本語教育学会、語用論学会、第二言語習得研究会等において口頭発表を行い、日本語教育関係者への成果の還元を図る。
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Causes of Carryover |
本調査開始時期が、当初の計画よりやや遅れている。そのため、調査に関わる謝金の支出、及び統計プログラムの購入分を次年度に繰り越すことになった。
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