2020 Fiscal Year Annual Research Report
The acquisition process of hedging expressions by Japanese learners: An interlanguage pragmatic analysis
Project/Area Number |
18K12418
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀田 智子 東北大学, 国際文化研究科, GSICSフェロー (30732391)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中間言語語用論 / 日本語学習者 / ヘッジ表現 / 語用論的能力 / 習得過程 / 理解能力 / 産出能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、コミュニケーションを図る上で重要なストラテジーである「ヘッジ表現(迂言的表現/垣根表現)」に焦点をあて、理解と産出の両観点から語用論的能力の習得過程を明らかにすることを目的とした研究である。 2020年度は、前年度から実施していた調査を終え、分析と考察を行い、一部の成果を発表した。理解能力に関しては、終助詞「かな」は否定疑問形式に比べ習得が遅れること、また、習得には日本語母語話者との言語接触密度が作用する可能性が高いことが分かった。前者は、第31回第二言語習得研究会 (JASLA) 全国大会において、後者は『KLS Selected Papers』において、それぞれ発表した。一方の産出能力については、全体的傾向として、副詞をはじめとする一部の言語形式に偏っていることが明らかになった。日本語母語話者と類似するヘッジ表現を使用する学習者は、言語接触密度が高く、日本語の語用論規範に適応したいと考えていることが分かった。本結果については、日本語用論学会第23回大会で公開した。 研究期間全体を通じて得られた本研究の成果は、概ね以下の三点にまとめられる。一点目は、ヘッジ表現には習得が容易なものと困難なものがあることである。二点目は、理解能力は、産出能力に先行して習得されることである。三点目は、ヘッジ表現の習得過程は、個人差が大きく、言語環境や学習者の行動、メタ語用論的知識の多寡が関わることである。 本研究では、学習者言語の発達過程の一端を明らかにした。上述の研究成果は、ヘッジ表現の習得の難しさを示すものであり、日本語教育の現場での明示的指導の必要性を示唆するものである。今後は、理解から産出に至るメカニズムを精査し、語用論研究および第二言語習得研究に貢献したい。また、日本語教育への応用を検討したい。
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