2018 Fiscal Year Research-status Report
テキストの特徴からみた日本語教育のための類義表現研究
Project/Area Number |
18K12420
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
小西 円 東京学芸大学, 留学生センター, 准教授 (60460052)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 類義表現 / 文体情報 / コーパス / 日本語教育 / 教育文法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本語のテキストの多様な文章・談話を計量的に分析し、テキストのスタイルと使用される類義表現の関連を明らかにすることである。そして、両者の関連を日本語教育文法として記述することを目指している。 2018年度は、分析の対象となる類義表現の選定を行った。選定は、松吉他(2007、2008)のtutujiの機能表現一覧を参考にし、2018年度はその中から逆接の機能表現を選出し、パイロット調査を行った。パイロット調査では、『BCCWJ図書館サブコーパスの文体情報』を利用し、図書館サブコーパスに収録されているサンプルに付与された文体情報(専門度、客観度、硬度、くだけ度、語りかけ性度)と、逆接の機能表現の出現との関連を調査した。その結果、例えば、「けれども」「けれど」「けど」「けども」のような類義表現はこの順で客観度・硬度が下がること、「にせよ」「にしろ」のような類義表現では「にせよ」のほうが客観度・硬度が高く、くだけ度が低いことなどが明らかになった。また、この種の文体情報では差を明らかにしにくい類義表現があることも示唆された。また、これらの逆接の機能表現に、馬場(2018)で示された、BCCWJの収録語における硬度の情報を重ね合わせることにより、ある表現と結びつきやすい語を示すことができる可能性が示された。
引用文献:松吉俊・佐藤理史・宇津呂武仁(2007)「日本語機能表現辞書の編纂」『自然言語処理』14-5、松吉俊・佐藤理史(2008)「文体と難易度を制御可能な日本語機能表現の言い換え」『自然言語処理』15-2、馬場俊臣(2018)「『BCCWJ図書館サブコーパスの文体情報』を利用した語の文体差研究の可能性」『言語資源活用ワークショップ2018発表論文集』
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度に実施予定だった類義表現選定はまだ未選定の部分が残っているが、2019年度に実施予定だったデータ分析を、すでに一部着手した。そのため、全体に見ると、おおむね当初の計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度以降は、分析対象とする類義表現を増やし、パイロット調査で行った方法をさらに改良して行っていきたい。また、類義表現と語彙との関連についても、調査を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
2018年度は、データ整形にかかる謝金額が当初予定額より抑えられたため。2019年度に新たなデータ整形を行う予定である。
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Research Products
(1 results)