2019 Fiscal Year Research-status Report
在アジア日系企業内コミュニケーションにおける共同理解構築のための基礎的研究
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18K12425
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
服部 明子 三重大学, 教育学部, 准教授 (50609485)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 質的分析 / 日本語会話 / ビジネス関係者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、外国人ビジネス関係者および日系企業への就職を目指す留学生等を対象とした、日本語教育プログラムおよび教材開発を目指した基礎的研究を行うものである。 研究目的は、在アジア日系企業(中国、台湾、ベトナム)の就業場面における日本語母語話者と非母語話者の共同理解構築の相互行為がいかに行われているかを複合的な研究方法を用いて明らかにすることである。 研究課題は(1)自然会話を分析し、共同理解がいかに構築され、またされないのかを質的分析によって記述すること、(2)会話参加者の内省から共同構築の過程を探ることの2点である。 2019年度の研究実績は以下の通りである。(1)2018年度の研究計画における問題点を踏まえ、研究計画を立て直した。発話思考法によるタブレット端末での調査を中止し、半構造化インタビューによる調査に変更した。(2)新たに複数企業に研究協力を依頼し、許可が得られた関東地方の企業1社で縦断的に調査を実施した。具体的な研究方法は、参与観察、就業時間中のビデオ撮影、半構造化インタビュー調査である。(3)在ベトナムの教育機関におけるミィーティング場面の会話の分析を行い、中国、台湾におけるデータと相違点を比較・検討した。(4)ベトナム人と日本人の面接場面に関するデータを用いて、その質問と応答に着目した質的分析を行った。2019年10月より、調査対象者の協力も受けながら、研究成果をまとめ、現在、論文執筆を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度は、所属先における研究業務(文部科学省「教員の養成・採用・研修への一体的改革推進事業」委託「外国人児童生徒等への理解と指導力を育てる教員調査カリキュラムの検証」)のエフォート率が高くなり、本研究の遂行には、十分な時間を取ることができなかった。 また、研究協力先の企業において2020年2月に調査および打ち合わせを行い、新型コロナウイルスの影響により延期せざるを得ずデータ回収ができなかったことから、研究計画が滞っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、(1)就業場面の自然会話および内省報告のデータの質的分析を進める。(2)研究成果を学術論文にまとめ、学術誌に投稿する。 また、研究上の課題として、協力先の企業の新型コロナウイルス対応の状況によっては、研究計画が遂行できない状況が生じている。対応策として、すでに収集したデータを用いて新たに研究計画を立て直すこと、データ収集の時期を見直すことなどを検討する。
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Causes of Carryover |
調査実施に関する遅れと変更が生じ、それに伴い、新たに研究計画を修正する必要があったため。2019年度は、新型コロナウイルスによる移動制限等の影響を受け、2020年3月までを予定していた調査が現在も中断している。次年度使用額分は、2020年度中に調査を再開し、その際に使用することを予定している。
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