2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of Teaching Materials to Improve Listening Comprehension of Varieties of English Accents
Project/Area Number |
18K12444
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
川島 智幸 群馬大学, 大学院保健学研究科, 准教授 (70759050)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 多様な英語 / なまり / 聞き取り / リスニングテスト / 教材開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高校生や英語を専攻しない一般的な日本人大学生向けに、聞き取りの負担となまりに対する肯定的な態度の育成に配慮した、多様な英語の聞き取り練習用教材の開発を目的としている。2018年度は、まず2010年から2018年に大学入試センター試験で出題されたリスニング問題225問(25問×9回分)の中から、50問の選定を行った。4つの大問から難易度が低いとされる第1問と第2問を選び、次に大手予備校Z会が公表した会員正答率が85%以上の問題を選んだ。次に、録音に協力してくれる吹き込み者を選定した。応募のあった大学(院)生・日本語学校生15カ国29人の中から、応募時に提出された自己紹介音声の評定と性別、母語のバランスに基づき、10人の協力者を選定した。英語なまりの評定は、非英語母語話者との会話経験豊富な2人の日本人英語教師が、なまりの強さと英語の明瞭性の観点から行った。選ばれた協力者は、モンゴル、中国、フィリピン、タイ、マレーシア、インドネシア、ネパール、インド、シリア、ポーランド出身の男女5人ずつである。その後協力者は、実際に大学入試センター試験に用いられた音声を聞きながら、男女一組でそれぞれ10問分の会話を録音した。協力者には、別途自己紹介と出身国における英語教育の状況についても話してもらい、録音した。 教材づくりと並行して、2018年度はこれまで取り組んだ研究成果を4本の論文にまとめ投稿した。そして、高等学校英語検定教科書指導用CD吹き込み者の縦断的な出身国調査の結果は、日本「アジア英語」学会の研究紀要に収められた。またインド人の話す英語の速度を20%遅くした場合の明瞭性(聞き取りやすさ)への影響を調べた実験結果は、大学英語教育学会関東支部紀要に掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、教材開発のために聞き取りに用いる設問と録音協力者の選定、そして録音まで終了した。またこれ以外に、学会にて5件の研究発表と4件の雑誌論文投稿を行い、いずれの論文も掲載済みもしくは近く掲載される予定となっている。以上のようなことから、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、録音した会話を編集しリスニング用聞き取り音声を完成させ、その音声を用いて高校生と大学生を対象にリスニングテストを実施する。なまりだけを変更して再現した音声と実際に大学入試センター試験で用いられた音声、さらには20%減速した再現音声を用い、多様な英語なまりと再生速度が、明瞭性にどう影響するかを明らかにする。明瞭性を数値化し、聞き取りを向上させる要因の把握につながることが期待されている。また、リスニングテスト実施前に吹き込み者による自己紹介や出身国における英語の役割等の短い話を聞かせる学生と、事前に何も聞かずにリスニングテストを受ける学生の正答率を比較し、多様な英語なまりに対する慣れが明瞭性に及ぼす影響を調査する。 本研究で作成する大学入試センター試験リスニング問題の再現音声は、多様な英語の明瞭性への影響を調べる目的以外に、最終的にホームページで公開し聞き取り練習用教材として広く高校生や大学生に利用してもらう計画である。平均的な日本人英語学習者に多様な英語を聞かせるにあたり、学習者の耳をどう段階的に慣らすかという課題と、いかに学習者が多様な英語なまりに偏見を持たないようにするかという課題がある。従って指導法の構築には、明瞭性を高める方策と、学習者が多様な英語に対して偏見を持つことを防ぐ方策の研究が必要となる。このため2019年度は、聞き取りやすさに配慮した音声の提示方法と併せて、なまりのある英語に対する肯定的な態度の育成につながる提示方法の研究を行う。吹き込み者の話を通して高校生や大学生に世界の英語使用者をより具体的にイメージさせ、さらに彼らの母語やなまりの特徴などの知識を一緒に提示することで、肯定的な態度育成への影響を調べる予定である。
|
Research Products
(8 results)