2021 Fiscal Year Research-status Report
学術目的のための英語コミュニケーション活動への口頭フィードバック手法のモデル化
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18K12450
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 悠佑 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 准教授 (70551125)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フィードバック / 学術目的のための英語 / 社会化 / 会話分析 / 教室会話 |
Outline of Annual Research Achievements |
大学での学術目的のための英語 (English for Academic Purposes: EAP) 授業において、学生の学術能力の発達を促す教師のフィードバック方法を明らかにすることを目指した本研究課題の2021年度の研究活動は、前年度までに構築したビデオデータコーパスの分析結果の発表を中心に行った。そして2件の国内学会での発表、1件の国際学会での発表、1件の国内学会誌での論文発表 (査読あり) という成果となっている。 国内学会では大学英語教育学会の2021年大会において共同発表として、プロジェクト発信型という1つのEAP授業の実践の紹介と、そうした英語授業の中で教師のどのようなフィードバックがどのような学術能力の発達につながるのかを、マルチモーダル会話分析の方法で実証した結果を発表した。これは当研究課題が目的としていたフィードバック方法のモデル化への1つの試みでもある。日本応用言語学会の第4回大会でも、実演による専門知の可視化とその知覚への指導という観点から、ポスト・パフォーマンスフィードバックの方法を詳細に分析した結果を発表した。 また、コロナ禍により延期されており、オンライン開催となったSociolinguistics Symposium 23という国際学会において発表を行った。学生のプレゼンテーション後のポスト・パフォーマンスフィードバックの1つ実践方法である「謎解き連鎖」が、どのように学生の深い理解を得るのかをマルチモーダル会話分析の手法で詳細に解き明かした。 ポスト・パフォーマンスフィードバックの方法とその効果の実証について2つの研究を中心に研究を行い、その成果を学会発表及び論文として発表した。 これらの成果をJALT JournalというJapan Association of Language Teachingの学会誌にて「フィードバックによる学術的社会化―EAP授業における教師のポスト・パフォーマンスフィードバックの会話分析」という題目で論文として公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、文献調査と構築し文字資料化の完了した学術目的のための英語授業ビデオデータコーパスのデータ分析とを中心に研究を実践し、その成果を学会発表と論文発表という目に見える形で示すことができた。特にコロナ禍のために延期されていた国際学会にて発表を行い、研究内容についてフィードバックを受けたことは大きい。また、文献調査から特に研究に取り入れる必要性を認識したマルチモーダルなものとして相互行為を詳細に分析する方法について、講師を招きオンラインワークショップを開催し、分析方法の精緻化を図ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の研究推進方策としては、フィードバック方法のモデル化の分析を進め論文として発表を行っていく、ということに尽きる。学術目的のための英語授業ビデオデータコーパスは文字資料化まで完了しており、昨年度までで分析方法の精緻化、またコーパス内における横断的分析も1つの区切りを得たと考えている。そのため、フィードバックの効果の縦断的分析とモデル化を、学会発表や論文投稿をとおして推し進めていく。コロナ禍により延期されていた国際学会を中心に発表することを予定しているが、パンデミックもまだ収束しているとは言い切れず、戦争も勃発しているなど不確実性が多いため、オンライン開催の国際学会や国内の研究会などでの発表機会も模索していく。論文は国際誌への投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で発表が採択され出席を予定していたオーストラリアでの国際学会が延期されていること、渡航予定であった国際学会がオンライン開催となり旅費が不要となったことによるものである。今年度 (2022年度) も完全収束しないパンデミックの影響及び戦争の勃発により、渡航できないことで旅費が不要となることも考えられるため、オンライン開催の国際大会や国内学会・研究会へ積極的に参加すること、または講師を招いてオンラインワークショップを行うことを計画している。
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