Effects of Relevance Instructions on EFL Learners' Text Processing and Memory

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K12458
• Research Institution: Dokkyo University
• Principal Investigator: 木村 雪乃 獨協大学, 法学部, 専任講師 (40779857)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 英語教育 / リーディング / タスク / 関連性効果

Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、日本人英語学習者の読解における関連性効果を検証することである。具体的には、読解前に与えるタスク教示と読解するテキスト情報との関連性に焦点を当て、英語学習者が (a) 読解中にタスクに関連したテキスト情報に注意を向けることができるか、(b) 関連情報を読解後に記憶することができるか、を明らかにする。
今年度の研究では、英語学習者の読解における関連性効果について、テキスト要因が与える影響を検証した。前年度に行った実験において、関連性効果はテキスト難易度の影響を受ける可能性が示唆された。具体的には、学習者にとって難易度の高いテキストでは関連性効果が表れにくく、難易度が適切なテキストでは関連性効果が表れた。関連性効果がテキスト難易度に左右された原因を探るために、テキスト難易度が読解中の処理とテキスト記憶に与える影響について検証した先行研究を精査した。また、先行研究から得られた知見に基づき、前年度に行った実験についてデータを再分析し、考察を行った。
今後の研究では、日本人英語学習者の再読プロセスや再読後のテキスト記憶に、関連性効果が表れるかどうかを検証する。具体的には、これまでの研究で用いたテキストの中で、関連性効果が表れたテキストを用いて、再読時にも同様の関連性効果が見られるのか、あるいは1度目の読みとは異なる形で関連性効果が表れるのかを明らかにする。
本研究は、英文読解における関連性効果に焦点を当てて、学習者・テキスト・タスクの相互作用を明らかにすることにより、英語学習者の読解プロセスとテキスト記憶を新たな観点から解明できるという点で学術的・教育的な意義があると考えられる。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究は実験的調査を含むため、協力者を募り個別に面会して実験を実施する必要があるが、新型コロナウイルスの影響により、協力者募集や実験の実施が困難になった。そのため、今年度の研究活動は文献調査やデータ分析、論文執筆等が中心となり、新たにデータ収集を行うことはできなかった。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究では、再読時における関連性効果を明らかにする。これまでに行った実験と同様に、テキスト中に含まれる特定の情報に注意を向けさせる「タスク条件」と内容理解を目的として読解させる「統制条件」を設定し、条件に応じた教示を読解前に与える。英文を読解する際には、1つの英文を2回繰り返し読むことを伝え、1度目と2度目の読みにおける読解時間を計測する。また、それぞれの読みの直後に英文の内容について覚えていることをすべて書き出す筆記再生課題を行う。
実験を実施する際には、新型コロナウイルスの影響を考慮し、必要に応じて実験を遠隔で行うなど柔軟に対応する。

Causes of Carryover

研究代表者の産前産後休暇と育児休業の取得により、当初の研究計画が遅延した。また、研究課題に必要な実験を実施するために、当初想定していたよりも時間を要すると判断し、補助事業期間を延長したため、次年度使用額が生じた。
次年度は、遅延していた研究計画を進め、新たにデータ収集を行う。助成金はデータ収集やデータ処理のための調査旅費、調査協力者への謝礼金、論文執筆に関わる英文校正費等に使用する予定である。