2021 Fiscal Year Research-status Report
意図的語彙学習における語源学習の効果―形態素の意味的透明性に着目して―
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18K12459
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
鈴木 健太郎 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40757134)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 語源学習 / 意味的透明性 / 学習効率 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は,語源学習(word part technique: WPT) の効率性 (符号化にどの程度時間を要するか) および意味的透明性 (個々の形態素と語全体の意味的関連度) の影響を検証する実験を行った。実験では,日本人大学生86名が低頻度の8つの英単語 (動詞) を,(a) 透明性の低い語に対する語源学習 (WPT for less transparent words (WPTL); e.g., abstain「控える」 = ab-「~から」+ -stain「保つ」),(b) 透明性の高い語に対する語源学習 (WPT for more transparent words (WPTM); e.g., conspire「団結する」 = con-「共に」+ -spire「息づく」),自己方略 (self-strategy learning(SS); e.g., mangle「台無しにする」) の3つの条件でそれぞれ4分間で学習し (協力者内デザイン),各学習条件で符号化に要した時間を記録した。 分析の結果,符号化に要した時間はWPTLとSSが同程度で,WPTM条件では他の2条件よりも短い傾向にあった。これらの結果から透明性が高い場合,語源学習は自己方略学習よりも効率的 (符号化しやすい) ということが示された。一方で,学習に要した時間は学習者間での差が大きいことも指摘された。本実験の内容をまとめた内容をJACET英語辞書研究会例会で発表し,一定の評価を得られるとともに今後の研究についての示唆を得ることができた。 また,過年度に実施した形態素の知識と意味的透明性が語源学習の処理と効果に与える影響を検証した実験の内容をまとめた論文が全国英語教育学会紀要 (Annual Review of English Language Education in Japan) に採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響により,予想以上にデータ収集に時間がかかっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,2021年度に実施した実験の再分析および論文投稿を行う。具体的には,協力者を特性 (e.g., 語彙サイズ,語源学習時の注意配分) に基づきグルーピングし,語源学習の効率性に関わる学習者要因の影響を明らかにする。これらの分析を通して,どのように語源学習を実践すべきかに関する示唆を得ることを目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により,国内・国際学会が中止またはオンライン開催となり,出張費がかからなかったため次年度使用額が生じた。 使用計画としては,学会や研究会に参加するための出張費 (対面で学会が開催される場合)や論文投稿のための英文校正費としての使用などを予定している。
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