2018 Fiscal Year Research-status Report
英文読解における心的表象構築と変化:情報想起が記憶の強化と忘却に及ぼす影響
Project/Area Number |
18K12463
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
中川 知佳子 東京経済大学, 経営学部, 准教授 (70580869)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 筆記再生課題 / 英文 / 記憶 / 強化 / 忘却(抑制) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、第二言語における文章理解において、(1) 情報の想起が「強化(活性化)」(retrieval-induced facilitation)と「忘却(抑制)」(retrieval-induced forgetting)に及ぼす影響を調査し、(2) 情報の再活性化が心的表象の再構築に及ぼす影響を解明することの2点である。 初年度には、日本人英語学習者(大学1年生)を対象として、英文(Money to Burn)を用い、以下の2条件で筆記再生課題を行った。レベル分けされた英語選択科目を受講している学生のうち、中上級クラス(TOEIC Bridge 120点前後)の学生を対象としている。なお、この英文については、Ushiro, Shimizu, Kai, Nakagawa, et al.(2009)が因果ネットワーク分析を行っている。 (条件1)英文読解後に直後筆記再生課題を行い、その1週間後に同じ英文の遅延筆記再生課題を行うグループ。(条件2)英文読解後には特に課題には取り組まず、1週間後に英文の遅延筆記再生課題を行うグループ。 現在、上記2条件での筆記再生課題の結果を、2名の採点者によって評価している段階である。今後は、次の2つの観点から比較していく:(a)条件1と条件2を比較した場合、遅延再生課題において再生された情報に違いはあるか、(b)条件1において、直後再生課題において再生された情報は、遅延再生課題においても再生されるか。 比較観点(a)において示された違いは、直後再生の有無によるものであると考えられる。そのため、比較観点(b)で記憶が再生によって「強化」された部分と「忘却」された部分を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していたデータ収集を終え、分析を行う段階である。おおむね順調に進んでいるが、採点者間の連携がうまく取れていない部分があり、採点者間信頼性を出すところで進捗が芳しくない。今後、採点者間信頼性を出し、採点観点の客観性を担保したうえで、分析を行う計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
直後再生課題を実施した群と、直後再生課題を実施しなかった群によって再生されるアイデアユニット(IU)の割合を比較する。比較においては、次の2つの観点からの検証を予定している:(a)直後再生有条件と直後再生無し条件を比較した場合に、遅延再生課題において再生された情報に違いはあるか、(b)直後再生有条件において、直後再生課題において再生された情報と遅延再生課題において再生された情報の違いは何か。 比較観点(a)において示された違いは、直後再生の有無によるものであると考えられる。そのため、比較観点(b)で記憶が再生によって「強化」された部分と「忘却」された部分を明らかにする予定である。 なお、比較観点(b)から検証する上で、Ushiro, Shimizu, Kai, Nakagawa, et al.,(2009)で行った因果ネットワークにの影響を確認する。
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Causes of Carryover |
初年度であったため、研究データの収集は行ったものの、その成果の発表には至らなかった。そのため、旅費や英文校正代(人件費・謝金)の執行がなかった。
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