2019 Fiscal Year Research-status Report
英文読解における心的表象構築と変化:情報想起が記憶の強化と忘却に及ぼす影響
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18K12463
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
中川 知佳子 東京経済大学, 全学共通教育センター, 准教授 (70580869)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 英文読解 / 再生課題 / オフライン / 忘却 / 強化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ある情報を想起することが、その情報の記憶を強化し長期的に保持することに役立つ「testing effect」がある一方、想起することを求められなかった情報の忘却を促進する「retrieval-induced forgetting」が生じると言われてきた。しかし、Chan, McDermott, and Roediger (2006) はある情報を想起することによって、想起されなかった記憶も強化される「retrieval-induced facilitation」が生じる可能性を指摘している。本研究では、英文を読んだ後に与えるオフライン課題と、読解中に与えられるオンライン課題によって、どのような情報が強化され、どのような情報が忘却されるのかを検証する。 焦点となるのは、因果ネットワーク分析を用い、(1) 再生課題による情報の「強化・活性化」と「忘却・抑制」に対して因果ネットワークが及ぼす影響を調査すること、(2) 情報の再生が心的表象の構築と経時的変化に与える影響を明らかにすること、そして、(3) 再生課題でみられた影響がオンライン課題でも生じるかを検証することの3点である。 上記1点目・2点目については、研究1年目にマテリアル作成を行い、データを収集した。現在は、収集したデータについて採点を行い、その結果を分析する段階である。オフライン(筆記再生課題)によってどのような情報の強化や忘却が生じるか(その生じ易さに対して、因果ネットワークがどのような影響を及ぼしているか)を示すことが今後の焦点となる。 さらに、今回実施したオフライン再生課題によって、記憶の強化や忘却が生じることが明らかとなった情報に関して、オンライン課題を行った場合にも同様の影響が生じるかを検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
産前産後休暇の取得および育児休業のため。 また、感染症対策のために対面でのデータ収集の実施が困難であり、今後の研究計画についても修正が必要となる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究Ⅱとして実施する予定であるオンライン課題(パソコンとSuperLabを使用し、読み手が文情報を処理する時間を計測する課題)は、反応時間を計測するためのソフトをインストールしてあるコンピュータを使用し、対面形式で行う必要がある。本務校の感染症対策ガイドラインなどに則して実施する予定であるが、感染症の流行状況によっては、実施自体を見直さなければならない。その場合には、読解時間計測に代わる方法を検討するが、研究計画の大幅な見直しが不可避な状況となる。 今後の研究については、オフライン課題の結果を詳細に検討してから詳細を詰めることにする。オンライン課題についてもオフライン課題と同じマテリアルを使用する計画であるが、対面形式での実施が困難になった場合には、マテリアルを変更し、遠隔でも実施できるような課題へと修正することを検討する。
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Causes of Carryover |
対面形式(パソコンと時間計測ソフトを使用した)データ収集が困難な場合は、オンラインでの読解の様子(think aloud protocolを使用した読解)を録画する方法を採用する可能性がある。その場合には、発話された音声の書き起こしを業務委託するための費用として使用する。
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