2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K12467
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石井 友美 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 講師(任期付) (60802072)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 多読活動 / 中国語段階別読み物 / GR / 中国語初級学習者 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度の研究は中国語段階別読み物(以下これをGRとする)の《漢語風中文分級系列読物》の300語、《彩虹橋漢語分級閲読》の150語、《軽松猫・中文分級読物Level 1》、《軽松猫・中文分級読物 Level2》を対象にし、初級レベルの学習者が「多読活動」を行うのに適しているのかを使用単語と使用文法から分析した。本研究では粟野他(2012)が挙げる日本語の多読ルールの「やさしいレベルから読む」「辞書を引かないで読む」「わからないところは飛ばして読む」「わかなくなったら、他の本を読む」の4つを守った読み方を「多読活動」と定義し、前述したGRがこのルールに則った読み方が可能であるかを検証した。2018年度は主に上記のGRの使用単語と使用文法を中心に分析を行った。 分析方法は1年間の中国語学習を終えた学習者5人に上記のGRを読んでもらい、理解度を測った。その結果、初級レベルに合わせて制作されているはずのGRが初級者には難しく、理解度が高くないことがわかった。この結果を受けて、日本の初級中国語教科書で用いられている語彙や文法と上記のGRの語彙と文法を比較したところGRには初級学習者にとって未習の単語が多く使用され、さらには《漢語風中文分級系列読物》の300語、《彩虹橋漢語分級閲読》の150語には初級学習者が未習の方向補語の派生義が多く用いられていることがわかった。この使用単語における分析結果は第17回中国語教育学会(天理大学)で発表予定である。また使用文法の分析結果はThe Fifth World Congress on Extensive Reading (逢甲大学)で発表予定である。 2019年度はこの分析をもとに初級学習者の「多読活動」に適したGRの使用単語、使用文法を決め、初級GR制作の準備を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では2018年度にGR制作を始める予定であったが、既存の初級中国語GRが初級学習者にとって難しいことがわかり、GRと日本の中国語教科書に用いられている単語と文法を比較し、初級学習者に適した単語、文法を定める必要が出てきたため、GR制作には及ばなかった。しかし今年度の分析で初級学習者に適した単語、文法を定めたため、既存のGRよりも初級学習者がより理解しやすい、「多読活動」に適したGR制作が可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度に定めた使用単語、使用文法を基に中国語初級GRの制作に入っていく予定である。「多読活動」のルールのうち特に「やさしいレベルから読む」「辞書を引かないで読む」が可能なGR制作を目標とする。
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Causes of Carryover |
2019年度のGR制作には数回にわたり被験者にテスト、イラストレーターにイラストの修正、加筆をお願いするため、2018年度の予定額の一部を2019年度の謝礼に充てた。
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