2019 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical Study of Social Science-Oriented English Language Education Research and Critical Applied Linguistics
Project/Area Number |
18K12480
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
寺沢 拓敬 関西学院大学, 社会学部, 准教授 (80772706)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 小学校英語 / 言語政策 / 英語教育政策 / 政策過程 / 政策史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、社会科学的な英語教育学(とりわけ英語教育政策研究)を体系化するうえで基礎となる理論的・経験的研究を行った。 経験的な研究として、小学校英語の政策史・政策過程に関する総合的研究を行った。具体的には次のような検討作業を行った。(a) 小学校英語が政策としてどのように構想され、施策として結実してきたか、戦後から現在までの(とくに1990年代から2019年までの)経過を跡づけた。(b) そのなかで、とくに政府内部(文科省・中教審、あるいは官邸・官邸内の政策会議)において、小学校英語の提案・議論・具体化の過程を議事録等を分析することで明らかにした。(c) こうして具体化された施策が、社会言語的、教育制度的、そして財政的な諸条件にいかに制約されているかを検討した。以上の研究の成果は、2020年2月に刊行された拙著(寺沢拓敬『小学校英語のジレンマ』、岩波新書)にて発表済みである。 一方、理論的な研究として、英語教育政策研究がいかに体系化できるかを理論的・方法論的に検討した。これまでの先行研究では、言語研究者が散発的かつ局所的に特定の政策事例を分析する傾向があり、体系化が進んでいなかったことを指摘し、そのうえで、他領域(とくに教育行政学・公共政策学)の先行事例を参考にすることで、生産的な体系化が可能であることを示した。そのうえで、(1) 先行研究では(国内外を問わず)政策内容の分析が多い一方で、政策過程の分析が手薄であること、および、(2) 政策に影響を与える要因としてイデオロギーをはじめとするマクロ要因の分析が多い一方で、政府内部の力学に関する分析がほとんどないことを指摘した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた研究はおおむね行うことができた。ただし、新型コロナウイルスの影響により2019年度末に予定していた研究発表は行うことができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度の成果を踏まえて、その方向性を継承しながら発展させる。とくに英語教育政策研究・言語政策研究に注目し、これらの体系化を目指す。また、2019年度までの成果をもとに、国内・国外で論文投稿・学会発表を行う。
|
Causes of Carryover |
2019年度は、3月に国際学会に参加予定であったが、新型コロナウイルスの影響により、学会がキャンセルになってしまい、旅費の支出ができなかった。 2020年度は、上記の学会と代替可能な学会に参加・発表する予定のため、こちらの旅費に充てる。また、2019年度までの研究成果をもとに論文投稿を行う予定であり、英文校閲費に充てる予定でもある。
|