2021 Fiscal Year Research-status Report
CLILの視点から実技教科を生かした小学校英語指導のモデル開発
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18K12484
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Research Institution | Japan Coast Guard Academy (Center for Research in International Marine Policy) |
Principal Investigator |
二五 義博 海上保安大学校(国際海洋政策研究センター), 国際海洋政策研究センター, 教授 (60648658)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CLIL(内容言語統合型学習) / 教科横断的指導 / 多重知能(MI)理論 / コミュニケーション能力の育成 / 小学校英語教育 / 海外の外国語教育 / 実技教科 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「2020年の小学校英語教科化に向けて、文部科学省が英語教育と他教科との連携を強調する中で、実技教科内容(体育・家庭・図画工作・音楽)を生かす小学校英語教育を行うことが、児童の英語学習意欲を高める上でも、将来に役立つ実用的なコミュニケーション能力育成を図る上でも効果的であることを理論的・実践的に示すこと」である。 この研究目的に沿い、研究の4年目である当該年度においては、3年目の研究に引き続き、CLIL(内容言語統合型学習)に関する理論面および実践面の情報収集に努めた。それは文献研究にはとどまらず、海外に積極的に出て行くことにより、最新の理論や実践の研究動向を探ることである。しかしながら、CLILの最新の著作物からは、日本でのCLILモデル開発のための有益な情報が得られたものの、2年続きのコロナ禍のため海外での現地調査や学会発表を通じた、海外研究者との情報交換は全く行うことができなかった。 そこで当該年度においては、第1に、以前の海外調査でまだ資料分析していなかったイタリアの図画工作のCLIL授業の事例研究を進め、日本の小学校に取り入れることが可能な点を検討した論文を公表した。第2に、2021年3月に三原市の附属小学校教員と連携して行っていた、小学校6年生を対象とした調理実習をテーマとする家庭科CLILの授業実践に基づいて、その授業分析結果を2021年11月に日本児童英語教育学会の全国大会にて共同で口頭発表した。第3には、前年度まで行っていた明治時代の小学校英語の国定教科書研究をさらに発展させる形で、当該年度においては現在の公立小学校用の検定教科書との比較考察をし、実技教科の内容も含む分析結果を学会にて口頭発表するとともに、学会誌にて公表した。 加えて、2022年2月には、岡山県の公立小学校で図画工作CLILの実践を行い、今後は授業分析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、「海外や日本のCLILの事例(現在および過去)を参考にしながら、実技教科を中心とする他教科内容を生かす小学校英語教育を行うことが、児童の英語学習への動機づけや、将来に役立つ実用的なコミュニケーション能力育成につながることを理論的・実践的に示すこと」を目指しているが、4年目の研究としては、おおむね順調に進んだ部分と完全に当初の予定が狂った部分とがある。 理論面では、文献研究のみに限られ、主に海外の学会や研修に参加することにより、ヨーロッパやアジアにおけるCLILに関する最新かつ有益な情報を得る機会は、2年続きのコロナ禍のため失われた。具体的には、参加を予定していた、8月のCLIL研修(フィンランド)、および12月のAsiaTEFL学会(インド)においては、両方とも現地でのCLIL研究者との情報交換は行えなかった。 実践面では、同じく新型コロナ感染拡大の影響により、既に詳細が決まっていたオーストリアの小学校におけるCLILの授業観察を再度延期せざるを得なかった。その一方で、日本においては、予定していた時期に大幅な遅れが生じたものの、コロナが落ち着いて対面式授業が可能となった時期には、CLIL授業の実践を行うことができた。詳細には、岡山県の公立小学校教員と連携して、多重知能(MI)理論の視覚・空間的知能や対人的知能を重視したCLILの学習指導案を作成し、小学校低学年児童を対象に版画をテーマとする図画工作CLILの授業を実施することができた。しかしながら、実施時期の遅れのために、本実践に基づく学会の発表にまでは至らなかった。 当該年度は、前年度までに既に実施していたCLIL授業を分析し、口頭発表や学会誌への公表はいくつかできたものの、新規の海外調査に基づく研究を進めることはできなかった。 したがって、総合的に見ると、本研究課題の進捗状況は「やや遅れている」と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、理論面でのCLILに関する最新の情報収集を継続するとともに、日本型のCLIL教材や指導法の開発を試みるに当たり、海外で実際に行われているCLILの授業観察を行い「仮説モデル」の作成をする予定である。可能であれば、3・4年目に2年連続でコロナ禍のため中止となった、オーストリアやフィンランドの小学校におけるCLIL授業の現地調査を行いたい。 加えて、研究対象とするCLILの実技教科については、既に論文での研究発表を行っている体育科内容の実践を継続するとともに、他の実技教科にも事例研究を増やしていく予定である。第1には、既に口頭発表までは行った三原市の附属小学校における家庭科内容を取り入れたCLIL授業に関して、とりわけCLILの思考などの視点でさらに考察を深め、今後は論文による公表を目指していく。第2には、既に実践した岡山県の公立小学校における図画工作内容を取り入れたCLIL授業に関し、CLILの4Cである「内容」「言語」「思考」「協学」の視点から分析し、考察結果を学会口頭発表や紀要の執筆へとつなげていく計画である。そして、第3には、新たに小学校における実技教科の内容(可能であれば今まで扱っていない音楽)を取り入れたCLIL教材の開発を試み、その授業分析結果を学会にて公表していく予定である。 しかしながら、これからの日本および世界における新型コロナの感染状況によっては、日本の小学校における授業実践や海外におけるCLIL授業の観察は実施できなくなるため、今後の研究計画は予定が大きく狂う可能性もある。その場合には、もしも可能であるならば、本研究の研究期間はさらに1年間は延長しなくてはならない状況である。
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Causes of Carryover |
物品費として予定していた関係図書費については、4年目の研究段階では、所属校の研究費等で全てまかなうことができ、科研費を使用する必要がなかった。また、2年続きの新型コロナの感染拡大の影響により、延期していたオーストリアでの小学校視察、8月のフィンランドでのCLIL研修、12月のインドでの学会参加など、海外出張の予定は全て中止となった。加えて、国内の学会についても、前年度に続いて全てがオンラインとなり、出張の必要がなくなった。このため、予定していた海外および国内の旅費に関しては大きな残額が生じた。 5年目には研究の進展により、図書費は所属校の研究費等だけではまかなえなくなることが予想される。また、次年度には、ヨーロッパなどでの授業観察やCLIL教員との情報交換のため数回の海外出張が見込まれ、ここに多くの本科研費を使用する予定である。
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Research Products
(8 results)