2019 Fiscal Year Research-status Report
明治期における条約改正交渉と「琉球処分」政策のトランスナショナルな連動性
Project/Area Number |
18K12489
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Research Institution | Meio University |
Principal Investigator |
山城 智史 名桜大学, 公私立大学の部局等, 上級准教授 (50794616)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 琉球併合 / 1870年代における条約改正 / 外交の連動性 / 英国・米国の東アジア政策 / 清朝外交 / 日清修好条規 / Compact and Treaty |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、琉球処分期に水面下で進められていた各国の条約改正交渉に焦点を当て、特に英国と米国の対東アジア政策と琉球処分政策の関連性を明らかにすることを試みる。 本年度は、主に英国と米国における史料の収集を進めることを課題とした。渡航前には、まず日本国内で収集できる米英資料(既刊・未刊)を確認した。日本国内における資料の確認を終え、本年度8月には英国(The National Archives , The London Library)での史料収集に取りかかった。英国では、『Records created and inherited by the Foreign Office』(FO)ファイルを中心に調査し、1870年代における英政府の対日外交及び対華外交に関する資料を収集した。 英国以外では、明治政府の琉球処分政策に影響を与えた国の一つとして米国が挙げられる。米前大統領のグラント、米国駐日公使のデロング(C.E.DeLong)、ビンガム(J.A.Bingham)らが琉球処分に関心を持ち、米国の東アジア政策を有利に展開しようと試みる。本年度は米国での資料収集を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、渡米を延期せざるを得なかった。 本年度の一つの成果として、これまでの琉球処分に関する先行研究の中で利用されていない英政府の資料を発見できたことが挙げられる。現在、英国で収集した資料を整理・分析しており、次年度はこの資料に加えて、米政府の資料を利用して研究論文として発表する予定である。最終的には、日本、清朝、英国、米国の4カ国の外交資料から本研究のテーマである琉球処分と条約改正交渉のトランスナショナルな連動性を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年8月に英国(The National Archives , The London Library)における資料収集を経て、米国(The National Archives, Harvard - Yenching Institute)における資料収集を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、米国への渡航が困難となり、本年度の調査渡航を中止とした。本来、1870年代における英国と米国の東アジア政策にフォーカスを当て、英米両国の資料を比較し、琉球併合をめぐる国際背景を明らかにする予定であった。英国では琉球併合に関する未刊の資料を収集することができたが、その資料を根拠づけるための米国の資料収集が課題として残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
米国への渡航可能時期は未定のため、今後は米国在住の研究者に協力を依頼することも考えている。米国対日外交の資料に加えて、その周辺資料(他国との外交)を収集し、今年度はこれまで収集してきた資料を基に研究論文として発表する。
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Causes of Carryover |
本年度の次年度使用額は「443,984円」である。この予算で米国渡航を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、本年度の渡航を中止せざるを得なかった。次年度はこの予算と次年度の予算を合わせて利用し、米国在住の研究者の協力を得たり、資料収集及びデータ分析に必要な機器の購入に充当し、仮に渡米が叶わなかった場合でも、最大限の成果を残すことを目的とする。
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